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それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
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ここは小さな家。僕が住んでいた場所。
そう、ここで僕は、人間として生きていた。

「……今は、もう取り壊されてるのかな。」
「貴方が死んでから、すぐに壊されたみたいだよ?」
「そっか……」

あの時の僕は、村人にとって忌むべき存在だった。
……すぐに壊されて当然なんだと思う。

「そんな事より、もっと重要な事を聞きたいんじゃないの?」
「……うん。貴方は、本当は何者なのか……」

ただ、純粋に僕の負の部分だけの存在じゃない。
もっと大きな、別の何かが関わっている……その答えがここにある。

「あたしは怨念そのもの……貴方の怨みは強かったけれど、それだけじゃ人は殺せない。」
「……他に殺された子供達の怨み?」
「そう。殺される理由もよく分からないままに、殺されていった子の怨み。
 ……ふふっ。貴方の怨みは本当に強かった。だからみんなが引き寄せられた。
 貴方の怨みが一番強かったから、みんなを引き寄せたの。」

……僕は最後の生贄であり、そして最も村人を怨んでいた。
今はそう思っていないけれど、それは猫神様の手によってあの僕と分離されたから。
……怨みは、全てあの僕が引き受けていた。

「あたしが貴方の姿をしている理由も、もう分かるでしょ?」
「……そうだね。」
「それと……怨みを持っているのは子供達だけじゃないのも、もう分かってるかな。」
「貴方が殺した村人の怨みも、貴方が引き受けていた……」

……怨みが怨みを呼ぶと言うのは、こういうことなのかな。

「ふふっ、自業自得よね?散々あたし達にあんな事をして来たんだから。」
「……それでも、殺すのはやりすぎだよ。」
「怨念の力を見せてあげただけだよ?怨みが全てを食らい尽くすまで、力を見せるつもりだった。」
「それを僕が……止めた。」

あの僕はあからさまに不満そうな表情をしていた。
まだ殺し足りない……そんな雰囲気だ。

「外にいる子達は、まだ足りないってずっと言ってる。」
「これ以上は……絶対に僕が許さない。」
「……そう。」

不満そうだった、けれど、何処か寂しそうにも見えた。
……何か、別の意思を感じる。

「……もう、貴方は望んでいないものね……」
「……うん。」
「でも、あたしは怨念。怨みを作った元を消さない限り、あたし達は来えない……」

突然、ガタガタと家が揺れ始める。
少しずつ、嫌な気配が強くなっていく。

「戻って。貴方のいるべき場所へ……」
「……!!」

扉が荒々しく開き、怨念が流れ込んだ瞬間、僕の意識は消えた。
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