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それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
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転送室に向かいながら、今回の事を考える。
近い事例はたった数例。少なくとも、私が確認しているのはその程度の数だ。
そして、その殆どが悪い結末を迎えている。
彼女のその一人ではあるが、今回は……どうも少し様子が違う。
力のある、負の方面が存在しているし、侵食も多少だが起こっている。
だが、これは……塗り替えようとしているようには見えない。
……現地に着いた時に、もう少し詳しい事を聞いておこう。

「あの……神王様?」
「ん、なんだい?」
「一緒に来てくださるのは嬉しいですけど……本当に大丈夫なんですか?その、他の事とか……」
「ふふっ、大丈夫。この件は優先事項として話を通してあるからね。」

そう、この件は私にとっても興味深いものであるし、
何よりも……咲耶から直接の連絡が入ったぐらいだ。
迷惑を掛けてしまった、そのお侘び……のつもりで、この件を進めたい。

「だから大丈夫、私の……神王の名に掛けて、ね。」
「……はい……ありがとうございます。」

彼女のためにも、咲耶のためにも……無事に解決してみせる。



転送室は、少し広くて、真中に大きな魔法陣が描かれている部屋だった。
強力な魔力の流れがそこにあるのがすぐに分かった。

「うわっ、凄っ……」
「やっぱり、転送するならこれぐらいの魔力補助がないとね。」
「……それにしても強烈ですよ、これ。」

これを神王様が使うのなら、これぐらいはあった方がいいのかもしれない。
……けど、この強さ。普通の魔法も、この場所だと凄い威力になりそうなぐらい。

「人一人を転送するならかなりオーバーだけど、ここでは複数だとか、物資も運ぶ場合もあるからね。」
「あ、なるほど。」
「さて、それじゃあ出発だ。行先は君が指定してね。
 行きたい場所を念じれば、後は勝手にやってくれるよ。」
「分かりました。」

あの村を思い浮かべる。僕が住んでいた、小さな村。
すると、急に足元が明るくなった。

「わわっ!?」
「位置補正完了、魔力安定……よし、出発!」

神王様がそう声を上げると、光が一気に強くなって、視界が真っ白になった。
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