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それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
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僕は夢を見ていた。磔にされて、火を付けられて、昔の僕は叫んでいる。
その様子を、今の僕は人の輪の外から眺めている。
……あれは僕のはずなのに、まるで別人に見えた。
あの時の、怨念に囚われた僕のように……

「そんな……そんなっ……嫌ぁぁぁぁぁっ!!」

悲鳴が響く。僕は何も出来ずに、そこに立ち尽くしていた。



「はぁ……」

起きてすぐに溜息。まだ僕は、過去を全て受け入れられてないのかもしれない。
全てを否定したくなるような……悪夢になるような過去。
でも、それは僕自身に起こった事。だから、ちゃんと受け止めないといけない。
……そう、思ってはいるけども。

「……まだ、時間が掛かるかな……」

まだ、すぐには受け入れられないかもしれない。
それでも、何時か必ず全て受け入れないと……あの子の為にも……



リビングで考えをまとめる。あの気配の正体、それに一番近い物は分かった。
……仮にそうだとしたら……どうやら、まだ完全な決着は付いてなかったか。
だが、だとしても我が干渉出来る範囲は狭い……どうしたものか。

「おはようございます。」
「おはよう羽衣。幽羅から聞いたが……体は大丈夫か?」
「あ……大丈夫ですよ。ちょっと、疲れちゃっただけですから。」

笑顔を見せる羽衣。今の所、体への影響は少ないように見えるが……

「それならいいが、無理をしていざと言う時に動けなくなるような事にはするな?」
「気を付けます……あ、そう言えば咲耶様、昨日のは結局何だったんですか?」

どうやらその本人は気付いていないようだ。
……後々、気付くだろうが……さて。

「ああ……妙な気配だったが、どうやら通り過ぎただけだったようだ。
 しかし、少々警戒する必要はあるかもしれないな……」
「あの黒い魔物に関係が……?」
「それも有り得る。奴らが互い同士を何処まで認識しているかにもよるが、
 一気に攻められればここも危うい。」
「そう、ですね……そうならないように、早く何とかしたいですね。」
「そうだな。」

羽衣の事も気になるが、あの黒い魔物もどうにかしなくてはいけない。
しかしながら、まだあの魔物の根源に至る情報は得られていない。

「……可能であれば、もっと力をこちらに呼ぶのだがな……」
「力、ですか?」
「ああ。精霊界はともかく、神界は今回の件を注目しているようだからな。」

過去の戦争との因果、だろうか。あまり触れたく無いが……な。

「うーん……何だか話を聞いてると、やっぱり咲耶様は大精霊なんだなぁって思います。」
「……そうかな。単に我だけが他世界の事情を知りすぎているだけだろう。」
「え?そうなんですか?」
「……まぁ、その事はその時が来れば話す事もあるだろう。」

今は、ごまかすしかない。立って伸びをする。
長い間、椅子に座って考え事をしていたせいか、体が少し鈍っていた。

「少し外を歩いてくるよ。」
「あ、分かりました。」

……少し頭を冷やすか。余り考えすぎても詰まるだけだ。
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