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それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
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状況は芳しくない。眠っていた筈のあたしにも、それは感じられた。
魔力の混濁……間違いなく、あたしが原因。どうにかしないといけない。
開放させてあげないと……やりたくは無かったけれども、強制的に意識を奪うしかないわね……
ごめんなさい、幽羅ちゃん……

「……我、風の精霊としてここに命ず……」
「ゆ、幽羅……!?」
「貴様、ソノ力は……!」

体の負担にはなる、けれどもこのまま戦い続ければ消耗戦になる。
ここで、決着をつけないと……!

「……我が道を害する物を斬り刻め!」
「これは……まさか!?雪乃!羽衣!伏せろっ!!」

咲耶、ありがと……この一発は重いわよ……!

「ナ……動ケナイダト!?」
「……貴方は、生かしておけない。ここで消えなさい。」

これが精一杯……けど、これなら倒せる、あたしのとっておきの魔法……!

「キ……貴様ァァァッ!!」
「……散れ。」
「グアァァァァァッ!!」

あまり使わない魔法……ううん、本来ならば使うはずの無い魔法。生物を切り裂く魔法なんて……
血も肉も、跡形も残さずに消してしまう。でも、こうでもしないと……
本当に、ごめんなさい……



声は届くのかしら……こうして、夢に語りかけていて不安になる。
手段がこれしか無いのだから、仕方ないのだけれども……あの子が、早く気づいてくれれば……
こうして話しかけるのも、結構力を使う。それだけに、長い時間は掛けられない。
お願い、あたしの声を聞いて……



「急にごめんなさいね……」
「……近いのだろう?」
「ええ……」

星の見えるテラス、そこにあたしは咲耶と一緒だった。
咲耶……ちょっと、前の気配に戻ってるわね。
それよりも、今は……

「一度、この子を元の姿に戻さないとね。」
「……後どれくらい持つか?」
「どうかしら……わからないわ。ただ安定してない事は確か。」
「そうか……手遅れにならなければいいのだが。」
「変な事言わないでよ。怖くなっちゃうじゃない……」

……実際は、もう怖い。咲耶の言う通り、もしも手遅れになったら、
あたしがこの子と一緒に消えてしまう……そんな事だってありえるんだから。

「すまない……だがどうする?」
「どうしようもないわよ。とにかく、一度この子に話をしないと……」

まずはそこから……それから始めないと。
ただ……失敗は出来ない。失敗したら、二人とも消えてしまう。
……そして、力が崩壊する。そうなったら、世界にも……

「頼むぞ、エアリナ。我は仲間を失いたくない。」
「わかっているわ。絶対に、無事に引き継がせる。」

迷わない。そうでなければ、みんなに迷惑が掛かってしまうもの。
あたしが、何とかしないといけない。

「もう、夏の暑さも通り過ぎたな。」
「そうね……もっと長く感じていられたらなぁ……」
「……また、感じられるさ。この風を……」
「……ええ……」

またあたしとしてこの風を感じる事は出来ない。
でももし、それが許されるのであれば、もう少し……ここに、存在していたい……
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