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それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
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翌日……
昨日はあんな調子だったが、眠って楽になったようだ。

「おはよう。」
「おはようございます、咲耶様。」
「……他の二人はどうした?」

幽羅と羽衣の姿が見えない。まだ眠っているんだろうか?

「まだ眠っているみたいです。昨日のでかなり疲れているかと……」
「そうだな……今はそっとしておこう。」

昨日のあれがまだある以上、今日無理する必要はないだろう……
今はゆっくり休ませよう。

「……一難去ってまた一難と来たか。」
「はい……本当に、最近多いですよね。」

食卓の上に置かれた手紙。それは新たな依頼の手紙であった。
流石に、立て続けに来るのは負担になる。

「……ふむ、この程度なら我一人でも十分だろう。」
「疲れは大丈夫なんですか?」
「何、問題ないさ。」

内容は難しいものではない。
ベロス近くの森に、そこにいるはずのない強力な魔物が出没しており、
その周辺にある道路が使用不可能になっている、との事だった。

「さて、早速向かうことにしよう。」
「咲耶様、私も一緒に行きます。」
「雪乃……我なら大丈夫だ。それに、あのような姿は見せたくないのでな。」
「あ……」

それを聞いた雪乃の表情が曇った。
そう……雪乃は一度、我が戦いに狂った姿を見ている。

「……すまないな。」
「いえ、いいんです……お気をつけて。」
「ああ、行ってくる。」

我は一人、ベロスへ向かう事にした。
この程度であれば……本当に、我だけで十分だ。
もう、あの姿は見せたくないのだ……



「あれ?咲耶ちゃんは?」
「依頼でベロスに行っていますよ。」
「そっかぁ。大丈夫かなぁ……何だか最近調子悪そうだし……」
「ええ……」



ベロスの近く、森の中。

「……ふふ……」

迫る大きな気配に我は薄い笑み。
周りには我の手で切り裂いた魔物達の死骸が転がっている。

「さぁ、来るがよい……我に勝てるというなら……!」

一際大きな、敵の長だろうか。だが、我の敵ではない……
血に染まった爪を振りかざす。

「……消えろ。」

すれ違いざまの一撃。
一瞬にして胸を引き裂いた。
血が吹き出す音がする。

「ふん……手応えのない奴だ。」

血の臭いが一帯を包んでいた。
常人であれば気分を害するであろう臭い、だが我は平然としていた。
たった今殺したそれを見る。血の海にうつ伏せになっている。
そして徐々に思考が正常に戻っていく。

「……ふぅ……」

術式展開。今日は随分と派手にやった。浄化にも手間取りそうだ……
血の臭いは消え、そこにあった亡骸も全て消え去った。

「さて……」

帰ろう。役目は果たした……
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