それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
食事が終わり少し時間が経った頃、我は羽衣と共に庭に出た。
「お庭も大きいですね……」
「少し手入れに手間も掛かるがな。」
正直、広すぎる気もする。大体の手入れは雪乃がしているが、我が手伝う時もある。
「そうですよね……でも、どうしてここに?」
「御主を少し鍛えようと思ってな。」
「鍛える……?」
「ああ、そうだ……まずは、話を聞いてくれ。」
我は今この世界が置かれている状況、敵、そして戦いについての話をした。
……本来であれば、こうのんびりしている暇はないのだ。
「……羽衣は戦う事が嫌いか?」
「はい……出来る事なら、ずっと静かに暮らしていたいです。でも……」
「……時として、やらねばならぬ時もある。だから、今の内に鍛えておくのだ。よいな?」
「はいっ!」
「うむ、いい返事だ。」
こうして、我と羽衣の特訓が始まった。
羽衣は一応槍を武器としているようだったが、むしろ魔法の方が適正があるようだった。
また同時に羽衣の戦闘用の鎧も見る事になった。
見た感じ赤を中心にした色使いで、胸には翡翠が飾られている。
気になったのは、猫の耳だった部分がなぜか角になっていた事。
本人曰く、そういう仕様らしい。神界の防具はなんというか、センスがないのか……?
「咲耶様の武器は確か爪とか、そういう物だったと聞いた事があるのですが?」
「ああ、その通りだ。だが、前までは槍を使っていた。今は技を扱う事は殆ど出来ないがな。」
「そうだったんですか……」
……殆ど記憶だけだが、少し扱うだけで自然と身体が順応していく。
いい事なのか、悪い事なのか……
それはともかく、幾らなんでも羽衣の扱い方は雑すぎた。
「まぁ、言い方は悪いかも知れぬが、少々御主は武器の扱いが酷いのでな……」
「あぅ……」
「まぁ、すぐにある程度の事は身につくはずだ。」
ただ一つ、問題なのは……具現化する槍。
羽衣はごく簡単な構造の、飾り気のない槍。
だが我のは特殊だ。周囲に他の意思を持つ生物がいた場合、何らかの影響を及ぼしかねない。
「すまない、館から槍を取って来よう。我の物はあまり頻繁に具現化出来ぬのだ。」
「あ、はい。」
仕方あるまい。ここは前に、館内で見かけた槍を拝借する事にしよう。
一度館に戻り、殆ど倉庫部屋になっているそこから、まだ使える槍を見つけた。
こちらも羽衣の槍と同じく、殆ど飾りのない単純構造の槍だった。
戻ると羽衣が武器を具現化させて待っていた。
「すまぬな。」
「いえ、咲耶様に直々に教わるなんて……恐縮です。」
「何、気にする事はないさ。さぁ、まずは基本の構えからだ!」
「はいっ!」
その後は槍を扱うに当たっての基本的な事から、実践でもそれなりに有効な技術を教えた。
また炎魔法が得意な事もあり、槍と炎魔法の連携も同時に練習する事になった。
「ふぅ……疲れました~……」
「大丈夫か?流石に長くなった……少し休もう。」
「いえ、もう少し……いたた……」
どうやら腕を痛めたらしい。少々、無理をさせすぎたか……
「無理はするな。今動けなくなっては、その時になったら困る事になるぞ。」
「はい……」
少し長くやりすぎたようだった。日はちょうど頭の真上にある。
と、近くの窓から幽羅が顔を出した。
「咲耶ちゃ~ん!ご飯の準備できてるから、一区切りついたら来てだって~!」
「わかった、今行こう!」
ちょうど食事の時間だったようだ。区切りもよかったので、すぐに館に戻ることにした。
まだ午前中だったとはいえ、季節はまだ暑い夏。無理はしないほうがいいだろう。
一度シャワーを浴び、着替えてから食事を済ませた。
午後は外には出ず、館内の広い部屋を使って、武器を使わない立ち回りを練習する事にした。
時として武器が使えない状況もあるという事を前提とした訓練もかねている。
「こ、こんな場所で魔法を?」
「心配はいらん。我があらかじめ手を加えてある。」
「……大丈夫なんですか、本当に……」
「我の過去?」
練習が終わった頃、ふと羽衣が我に聞いたのがそれだった。
「はい……神界でも有名な方ですし、少し気になってしまって……いえ、無理ならいいのですが……」
「……今はまだ無理だ。だが、じきに話す時が来るかも知れぬ。」
「そうですか……」
過去は、余り伝えたくない事だ……他者に話せるような物でもない。
出来る事なら、消し去ってしまいたいぐらいだ……
「……まぁ、そう頻繁に語る過去ではないのだがな。さて、戻るとしようか。」
「はい。」
ここまで訓練して気づいたのは、羽衣の適応能力の高さだ。
最初はぎこちなかったが、今ではある程度の戦線でも通用するぐらいの力はある。
もちろん、羽衣を無理に戦わせるような真似はしたくはないが……
今後の状況を考えると、どうしても戦いは避けられない。
今は少しでも、今後のために強くなくては……羽衣も、我も……
「お庭も大きいですね……」
「少し手入れに手間も掛かるがな。」
正直、広すぎる気もする。大体の手入れは雪乃がしているが、我が手伝う時もある。
「そうですよね……でも、どうしてここに?」
「御主を少し鍛えようと思ってな。」
「鍛える……?」
「ああ、そうだ……まずは、話を聞いてくれ。」
我は今この世界が置かれている状況、敵、そして戦いについての話をした。
……本来であれば、こうのんびりしている暇はないのだ。
「……羽衣は戦う事が嫌いか?」
「はい……出来る事なら、ずっと静かに暮らしていたいです。でも……」
「……時として、やらねばならぬ時もある。だから、今の内に鍛えておくのだ。よいな?」
「はいっ!」
「うむ、いい返事だ。」
こうして、我と羽衣の特訓が始まった。
羽衣は一応槍を武器としているようだったが、むしろ魔法の方が適正があるようだった。
また同時に羽衣の戦闘用の鎧も見る事になった。
見た感じ赤を中心にした色使いで、胸には翡翠が飾られている。
気になったのは、猫の耳だった部分がなぜか角になっていた事。
本人曰く、そういう仕様らしい。神界の防具はなんというか、センスがないのか……?
「咲耶様の武器は確か爪とか、そういう物だったと聞いた事があるのですが?」
「ああ、その通りだ。だが、前までは槍を使っていた。今は技を扱う事は殆ど出来ないがな。」
「そうだったんですか……」
……殆ど記憶だけだが、少し扱うだけで自然と身体が順応していく。
いい事なのか、悪い事なのか……
それはともかく、幾らなんでも羽衣の扱い方は雑すぎた。
「まぁ、言い方は悪いかも知れぬが、少々御主は武器の扱いが酷いのでな……」
「あぅ……」
「まぁ、すぐにある程度の事は身につくはずだ。」
ただ一つ、問題なのは……具現化する槍。
羽衣はごく簡単な構造の、飾り気のない槍。
だが我のは特殊だ。周囲に他の意思を持つ生物がいた場合、何らかの影響を及ぼしかねない。
「すまない、館から槍を取って来よう。我の物はあまり頻繁に具現化出来ぬのだ。」
「あ、はい。」
仕方あるまい。ここは前に、館内で見かけた槍を拝借する事にしよう。
一度館に戻り、殆ど倉庫部屋になっているそこから、まだ使える槍を見つけた。
こちらも羽衣の槍と同じく、殆ど飾りのない単純構造の槍だった。
戻ると羽衣が武器を具現化させて待っていた。
「すまぬな。」
「いえ、咲耶様に直々に教わるなんて……恐縮です。」
「何、気にする事はないさ。さぁ、まずは基本の構えからだ!」
「はいっ!」
その後は槍を扱うに当たっての基本的な事から、実践でもそれなりに有効な技術を教えた。
また炎魔法が得意な事もあり、槍と炎魔法の連携も同時に練習する事になった。
「ふぅ……疲れました~……」
「大丈夫か?流石に長くなった……少し休もう。」
「いえ、もう少し……いたた……」
どうやら腕を痛めたらしい。少々、無理をさせすぎたか……
「無理はするな。今動けなくなっては、その時になったら困る事になるぞ。」
「はい……」
少し長くやりすぎたようだった。日はちょうど頭の真上にある。
と、近くの窓から幽羅が顔を出した。
「咲耶ちゃ~ん!ご飯の準備できてるから、一区切りついたら来てだって~!」
「わかった、今行こう!」
ちょうど食事の時間だったようだ。区切りもよかったので、すぐに館に戻ることにした。
まだ午前中だったとはいえ、季節はまだ暑い夏。無理はしないほうがいいだろう。
一度シャワーを浴び、着替えてから食事を済ませた。
午後は外には出ず、館内の広い部屋を使って、武器を使わない立ち回りを練習する事にした。
時として武器が使えない状況もあるという事を前提とした訓練もかねている。
「こ、こんな場所で魔法を?」
「心配はいらん。我があらかじめ手を加えてある。」
「……大丈夫なんですか、本当に……」
「我の過去?」
練習が終わった頃、ふと羽衣が我に聞いたのがそれだった。
「はい……神界でも有名な方ですし、少し気になってしまって……いえ、無理ならいいのですが……」
「……今はまだ無理だ。だが、じきに話す時が来るかも知れぬ。」
「そうですか……」
過去は、余り伝えたくない事だ……他者に話せるような物でもない。
出来る事なら、消し去ってしまいたいぐらいだ……
「……まぁ、そう頻繁に語る過去ではないのだがな。さて、戻るとしようか。」
「はい。」
ここまで訓練して気づいたのは、羽衣の適応能力の高さだ。
最初はぎこちなかったが、今ではある程度の戦線でも通用するぐらいの力はある。
もちろん、羽衣を無理に戦わせるような真似はしたくはないが……
今後の状況を考えると、どうしても戦いは避けられない。
今は少しでも、今後のために強くなくては……羽衣も、我も……
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