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それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
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目が覚めると、そこはあの墓地だった。あたりを見回す。
僕はあの墓石に寄りかかる感じになって……意識を失ってた?
いや、そうじゃない。僕は、あの子と……?
……ううん、もうこれ以上考えても仕方ないかな。
立ち上がって、空を見上げる。そう、これで良かったんだ。
もう、これ以上誰かを悲しませる事はない。
さぁ、帰ろう。いろんな人を心配させてるんだから。



囚われた意志は彼女の手によって解き放たれ、星の輪廻へと導かれる。
彼らが再びこの世に生を受けるのは、暫く後になるだろう。
それにしても……私は多くの事象を見てきた。だが、この様な事は滅多にない。
あれだけの怨念を、ほんの僅かな時間で祓ったのだ……間違いなく、彼女は本物だ。
これで空白が一つ埋まる。しかし……彼女を神界に拘束するのはよろしくないな。
ここは一つ、また無理を言ってみるか。



「羽衣っ!」
「あ、猫神様……」

村に戻ると、人の姿をした猫神様が駆け寄ってきた。
……なんだろう、すごく久しぶりに会ったような気がする。

「羽衣、無事でよかっ……ん?」

突然、じっと僕の顔を見る猫神様。あれ、顔に何か付いてる?

「どうかしましたか?」
「羽衣、左目が……」
「えっ?」
「ほら、これ……」

ぽんっ、という音と一緒に手鏡が出てきた。それで自分の顔を見る。
……左目が、あの子みたいな赤い目になっていた。

「……そっか。そうだったんだね……」

あの時、あの瞬間に、僕は二つの存在になった。
神族としての僕と、人間としての僕。
それが今、また一つに戻った。最初とは、少し形が違うけれども……

「分かたれた意志は今再び一つに。最高の結果だね、羽衣さん。」
「……はい、神王様。」

猫神様の後ろに神王様が現れる。なんだか、疲れているように見える。
僕がいない間に、何かあったのかな……?

「いやぁ、本当に驚いた。突然炎神の波動が広がる物だから、神官がわざわざこちらに来てね。
 どういうことだ!どうなってるんだ!なんて質問責めだよ。困っちゃうね、ほんと。ははは!」

あの時、僕が使った力。それは炎の具現。
全てを焼き尽くす激しさと、他者を癒す暖かさ。
相反する力を持つ、神としての力。
……なんだけども、特に前振りとかなしに目覚めたせいか、
神界の人達がその気配に驚いたみたいだった。

「あー、うー……ごめんなさい……」
「いやいや、謝る必要はないさ。無事に帰ってきてくれただけで十分。
 ただ……一時は本当にどうなるかと思ったよ。もし事が悪い方向に進み続けるなら
 私も全力で介入する必要があるんじゃないかと身構えてたんだ。」

神王様も、ずっと心配してくれていた。
僕が戦っている間、陰で支えていてくれた。

「……神王様、猫神様、本当に……ありがとうございます。」

今の僕には、それがとても嬉しくて。
僕は笑顔で、二人に感謝した。
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