それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
因果と言うのは、思いもよらない所で具現化する事もある。
墓地周辺に結界を張っている最中に、羽衣さんから発せられたそれは、
間違いなく私が足りないと感じていた物であった。
「……いやはや、人生何が起こるか分からないね。」
だが、それはまた後の話だ。
今は彼女が円滑に決着を付けられるよう、支えるだけだ。
結界の構築は完了した。外界への影響はこれで無くせる。
遠目から様子を見ていたが、不意に、その中心から黒が広がった。
「……いざとなれば、か。その時は素直に怒られておこうかな……」
神官達の不満そうな顔を思い出し、少し苦笑い。
でもまぁ、きっと納得してくれるだろう。
……彼女が、本来の姿になってくれれば、尚更だ。
突然、目の前の僕から光が消えた。一瞬であたりが暗くなる。
『あれ……?』
でもそれは墓地の中だけで留まっていた。
何かに堰き止められているように……結界?
この感じ、神王様が結界を展開してくれたのかな。
『……ふーん、面倒な事するんだね。』
不満そうに目の前の僕は言う。
あのまま、村ごと包んでしまうつもりだったのかな……
そんな事になったら、村の人達が、みんな……
「これ以上は、僕が許さない!!」
迷う事なんてない。全てを、ここで終わらせる。
槍を構える。槍が纏う炎、その力は……『浄化』。
今なら分かる気がする。どうして僕が、炎を扱う事が出来るのか……
『無理よ!貴方には止められない!』
「そんな事無い!」
怨霊達が襲い掛かる。冷静に避け、槍を振るう。
……なんだろう。声が聞こえる気がする。
「羽衣っ!!」
猫神様の声が響く。怨霊を退けながら猫神様のいる所まで下がった。
それでも怨霊の攻撃は止まない。
『どうして……どうして貴方はあたしを止めるの!?』
「もう誰も恨む必要なんて無い!殺す必要なんてない!」
『必要無い?……ふざけないで!!貴方は、あいつらにされた事を忘れたの!?』
忘れたわけじゃない。恨みが全く無いと言ったら嘘になる。でも……
「それは今じゃない!貴方は過去に囚われているだけ!」
『五月蝿いッ!!もう誰にも止められない!みんなここで殺してやる!!』
「ぐっ……!?」
攻撃が熾烈になる。槍を地面に突き立てて、そこを中心に結界を張った。
……でも、長くは持たない。
「羽衣!?」
「……っつ……!!」
じりじりと手が焼けるような感覚がする。
油断すれば、一瞬で潰されてしまいそうで。
『た……す……け、て……』
「………!!」
小さいけれど、聞こえた。助けを求める声。
間違いなく、それは怨念から発せられていた。
「今の声は……」
「……はい。間違いないと思います。」
苦しいのは、僕やもう一人の僕だけじゃない。
あの僕に囚われた霊もまた、苦しんでいるんだ……
墓地周辺に結界を張っている最中に、羽衣さんから発せられたそれは、
間違いなく私が足りないと感じていた物であった。
「……いやはや、人生何が起こるか分からないね。」
だが、それはまた後の話だ。
今は彼女が円滑に決着を付けられるよう、支えるだけだ。
結界の構築は完了した。外界への影響はこれで無くせる。
遠目から様子を見ていたが、不意に、その中心から黒が広がった。
「……いざとなれば、か。その時は素直に怒られておこうかな……」
神官達の不満そうな顔を思い出し、少し苦笑い。
でもまぁ、きっと納得してくれるだろう。
……彼女が、本来の姿になってくれれば、尚更だ。
突然、目の前の僕から光が消えた。一瞬であたりが暗くなる。
『あれ……?』
でもそれは墓地の中だけで留まっていた。
何かに堰き止められているように……結界?
この感じ、神王様が結界を展開してくれたのかな。
『……ふーん、面倒な事するんだね。』
不満そうに目の前の僕は言う。
あのまま、村ごと包んでしまうつもりだったのかな……
そんな事になったら、村の人達が、みんな……
「これ以上は、僕が許さない!!」
迷う事なんてない。全てを、ここで終わらせる。
槍を構える。槍が纏う炎、その力は……『浄化』。
今なら分かる気がする。どうして僕が、炎を扱う事が出来るのか……
『無理よ!貴方には止められない!』
「そんな事無い!」
怨霊達が襲い掛かる。冷静に避け、槍を振るう。
……なんだろう。声が聞こえる気がする。
「羽衣っ!!」
猫神様の声が響く。怨霊を退けながら猫神様のいる所まで下がった。
それでも怨霊の攻撃は止まない。
『どうして……どうして貴方はあたしを止めるの!?』
「もう誰も恨む必要なんて無い!殺す必要なんてない!」
『必要無い?……ふざけないで!!貴方は、あいつらにされた事を忘れたの!?』
忘れたわけじゃない。恨みが全く無いと言ったら嘘になる。でも……
「それは今じゃない!貴方は過去に囚われているだけ!」
『五月蝿いッ!!もう誰にも止められない!みんなここで殺してやる!!』
「ぐっ……!?」
攻撃が熾烈になる。槍を地面に突き立てて、そこを中心に結界を張った。
……でも、長くは持たない。
「羽衣!?」
「……っつ……!!」
じりじりと手が焼けるような感覚がする。
油断すれば、一瞬で潰されてしまいそうで。
『た……す……け、て……』
「………!!」
小さいけれど、聞こえた。助けを求める声。
間違いなく、それは怨念から発せられていた。
「今の声は……」
「……はい。間違いないと思います。」
苦しいのは、僕やもう一人の僕だけじゃない。
あの僕に囚われた霊もまた、苦しんでいるんだ……
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