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それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
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僕の部屋で、椅子に座って鏡をじっと見つめる。
僕の中で眠っていた、恐ろしく強い怨み。
まだ僕が人間だった頃の、あの記憶。
僕自身がずっと持ちつづけていたもの……
もしもあのまま殺されていたら、もっと悲惨な事になっていた。
それ程の怨みを……僕は、持っていた。

「……僕が、いけなかったのかな……」

もしも、もっと早く気づく事が出来たのなら……こんな事にはならなかったのかもしれない。
気が付いたら、誰かが死んでいた。逃げようとした時、迫害を受けた時。
……それが重なって、僕は殺されて。
神族として生まれ変わった時に、それが一番ハッキリしたんだと思う。

「僕は……受け入れるだけで、いいのかな……?」

……何だろう、また、体が重い……何かが、僕の、傍に……

「……!!」

体が動かない。僕の後ろに何かがいる。でも、鏡には何も映っていない。
でも、僕の事をじっと見つめている。体が震える。
怖い。逃げ出したくなるほど、でも逃げ出せない。
近づいてくる。背筋が凍る。それはもう僕の真後ろにいた。

「っ……う、あぁ……」

僕の背中から、何かが僕の中に入ろうとしている。
目の前が暗くなっていく……

「ただいま~!」
「はっ……」

急に、幽羅さんの声が部屋に響いてきた。その声のおかげで、体の自由も戻った。
あの気配もしない。でも、僕の顔は真っ青で……!?

「えっ……な、なんで?戻ってる……!?」

目の色……紫色だったのが、前の青い色に戻っていた。
どうして……もしかして、さっきので……?
いや、まず落ちつかなきゃ……落ちついて、考えなきゃ……深く深呼吸をする。

「……大丈夫、僕はもう大丈夫……」

それなりに落ちついた……でも、相変わらず僕の目は青いままだった。
……紫は、僕とあの時の僕が一つになった時。じゃあ、青なら……また、別々になった?
それじゃあ、さっきのは、あの僕が……?

「羽衣、いるか?」
「えっ、あっ、はいっ!」

突然、扉の外から咲耶様の声が聞こえた。
何時の間に帰ってきてたんだろう……

「どうした、そんな声を出し……羽衣、その目は……やはり、な……」
「あ、あの……?」
「羽衣……少し、時間を貰えるか?」

真剣な表情の咲耶様。もしかして……この事を分かってるのかな……?

「……大丈夫です。」
「……ありがとう。」

扉を閉めて、僕の隣にあったもう一つの椅子に座った。
何だろう……心がざわついているような、そんな気分。

「昨日のあの気配だが……あれは、以前刃を交えた御主の怨念の物に近いものだった。
 残留思念がまだ残っていたのか、それ以外の要因なのかまでは分からない。」

咲耶様は気付いていたんだ……でも、僕になんとも無かったのは……

「……それじゃあ、あの夢は……」
「夢を見たのか……どんな夢だった?」
「昔の……人だった頃の僕が、炎に焼かれて……」

今日の夢の事を、細かく伝えていく。頭の中に鮮明に残っている、あの風景……
もしかして、あの僕が見せた……?

「……そして、その目か……」
「もしかしたら、青に戻ったのは、僕とあの僕が別々になったから……そんな気がするんです。」
「我も似たような事を考えていた。どうやら、我の予想以上に強い怨念だったのかもれんな……」

まだ、僕の中に深く根付いている過去の出来事……僕が知らない内に募らせていた物……

「羽衣。この事は我よりも御主自身が良く分かっているはずだ。
 本来ならば、我が干渉するべき事ではない。」
「咲耶様……でも、僕はどうしたら……」

もし、また別々になったとして、これからどうすればいいんだろう?
元に戻せばいいとか、そんな単純な事で終わらせていいのかな……?

「……記憶の空白を埋める事、それが手掛かりになるかもしれん。」
「記憶の、空白……?」
「後は、御主自身が見つける事だ。我にはこれ以上踏みこむ資格は無い。」

……後は、僕次第……それを見つける手掛かりは、何処かに……
それなら、あの村に行けば何か分かるかもしれない。

「……僕、もう一回村に行ってみます。」
「そうか、なら門を開けよう。それと、村に行く前に神界に寄っていくといい。」
「え、神界に?どうしてですか?」
「神王の所に顔を出しておくといい。奴なら手助けしてくれる筈だ。
 我の紹介と言えば、すぐに行けるはずだ。」
「分かりました。咲耶様、ありがとうございます!」

今の僕は神族だから……うん、きっと神王様も分かってくれる。
……でも、咲耶様と神王様って、どんな関係なんだろう……?
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