それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
その日の夜、我と幽羅は屋根の上に居た。雪乃と羽衣は既に眠っている。
満天の星空……エアリナと共に見た事を思い出す。
「こうやってさ、ただぼーっと空を眺めるのもいいよね……」
「そうだな……気分が落ち着く。」
「うん……」
何度かこの様な星空を見て来たが……今日は、少し違って見える。
ふと、屋根に風が吹く。少し冷たい風だった。
「あ……うん、大丈夫……ありがとう、ね。」
「……声が聞こえたか?」
「うん……大精霊になったから、はっきり聞こえるようになったよ。」
本来、事象そのものとなっている精霊……幽羅であれば風だが、明確な意思は持たない。
だが、たまに近くに居る精霊に声を掛ける者も居る……一度きりではあるが。
さほど力の強くない精霊ではささやき程度にしか聞こえないが、我や幽羅のような大精霊になると、
その声がはっきりと聞こえるようになる。
「……大精霊、かぁ……」
「まだ不安か?」
「ちょっとだけ……でも、それって大精霊になったらみんな感じる事だからさ。
色々考えても、結局は自分から動かないと。」
何処かエアリナに似た口調……当人は……まぁ、気づいているのだろうな、影響が出ている事を。
我も少なからず、先代の影響を受けている。今となっては、その影響も薄れてしまったが……
「今、エアリナ様みたいだって思ったでしょ?」
「……少し、な。」
「そうだと思うよ。あたしに掛かってる影響、大きいみたい……ほら、前までは私、だったし……」
言い方は悪いが、侵食……それもありえる。強引な形で引き継がせたのだ……
これで影響が全く無かったら、逆に不審に思える程だ。
「でも、あたし……私は消えてない。エアリナ様に似る所もあるけど、根っこまでは変わってない。
エアリナ様と全く同じな事は出来ないよ。だから……」
幽羅がそっと我の肩にもたれる。暖かさと鼓動を感じる。
「あたしは……あたしなりに頑張るよ。色々大変だけど……何かあった時はお願いね、咲耶ちゃん。」
「ああ、同じ大精霊同士……いや、それだけではないな。大切な親友としても、だな。」
「……ありがと、咲耶ちゃん……」
星達と月に見守られながら、ただ静かに夜空を眺めていた。
精霊の体では感じる事の出来ない、心地よい温もりを感じながら。
「てりゃぁーっ!!」
「はぁっ!」
アルカディアと呼ばれる場所、そこで幽羅と二人で依頼をこなす。
次々と現れる敵を、素早い動きで倒していく。
幽羅の援護もあり、普段ではあまり出来ない動きもある程度可能になっていた。
「幽羅っ!」
「りょーかいっ!みんな、お願いっ!」
幽羅の風魔法で、群がる敵を一気に空へと舞い上げる。
それと同時に、怨念桜の槍を具現化する。
幽羅への影響は以前に比べ大幅に少なくなっている。
「その場を動くなよ……!」
「大丈夫っ!」
幽羅が我の背後に回る。それを確認して、槍を地面に突き立てる。
広い場所でしか使えない技……直後、周囲の地面から無数の鋭く赤い針が放たれた。
宙を舞っていた敵を貫き、亡骸があたりに降り注ぐ。
……普通の冒険者がこの光景を見たら、気を失ってしまいそうだな……
「……やっぱり、それ使ってると色々と派手になるよね……」
苦笑しながら言う幽羅。確かに、派手な技が多いかもしれないな……
……亡骸は少しずつ形を失い、砂となって消えた。
「まぁ、あまり気にしないでくれ……」
「そだね……でもこれで、ここ一帯のは落ち着くかな?」
「恐らくはな。元を断つ必要もあるだろうが……今は大丈夫だろう。」
……この大量発生は……何処かに原因があるはずだ。
あの黒い魔物とも関連しているかもしれない。
「ねぇ、咲耶ちゃん……」
「ん?何だ?」
「あたしは……力になれたかな?」
少し心配そうに幽羅が言う。かつて、エアリナも同じ事を言っていた。
「十分に力になっているさ、これからも頼むぞ。」
「……うん、ありがとう。」
我はその時と同じ答えを返した。その答えに微笑む幽羅。
ふと、幽羅の後ろに一瞬エアリナの姿が見えた気がした。
「咲耶ちゃん、どうしたの?」
「……いや、なんでもない。それじゃあ、帰ろうか。」
「うん!」
そのエアリナも、微笑んでいたように見えた。
……幽羅は、しっかりと意思を受け継いでいるのだ。これでいいのだろう?エアリナ……
満天の星空……エアリナと共に見た事を思い出す。
「こうやってさ、ただぼーっと空を眺めるのもいいよね……」
「そうだな……気分が落ち着く。」
「うん……」
何度かこの様な星空を見て来たが……今日は、少し違って見える。
ふと、屋根に風が吹く。少し冷たい風だった。
「あ……うん、大丈夫……ありがとう、ね。」
「……声が聞こえたか?」
「うん……大精霊になったから、はっきり聞こえるようになったよ。」
本来、事象そのものとなっている精霊……幽羅であれば風だが、明確な意思は持たない。
だが、たまに近くに居る精霊に声を掛ける者も居る……一度きりではあるが。
さほど力の強くない精霊ではささやき程度にしか聞こえないが、我や幽羅のような大精霊になると、
その声がはっきりと聞こえるようになる。
「……大精霊、かぁ……」
「まだ不安か?」
「ちょっとだけ……でも、それって大精霊になったらみんな感じる事だからさ。
色々考えても、結局は自分から動かないと。」
何処かエアリナに似た口調……当人は……まぁ、気づいているのだろうな、影響が出ている事を。
我も少なからず、先代の影響を受けている。今となっては、その影響も薄れてしまったが……
「今、エアリナ様みたいだって思ったでしょ?」
「……少し、な。」
「そうだと思うよ。あたしに掛かってる影響、大きいみたい……ほら、前までは私、だったし……」
言い方は悪いが、侵食……それもありえる。強引な形で引き継がせたのだ……
これで影響が全く無かったら、逆に不審に思える程だ。
「でも、あたし……私は消えてない。エアリナ様に似る所もあるけど、根っこまでは変わってない。
エアリナ様と全く同じな事は出来ないよ。だから……」
幽羅がそっと我の肩にもたれる。暖かさと鼓動を感じる。
「あたしは……あたしなりに頑張るよ。色々大変だけど……何かあった時はお願いね、咲耶ちゃん。」
「ああ、同じ大精霊同士……いや、それだけではないな。大切な親友としても、だな。」
「……ありがと、咲耶ちゃん……」
星達と月に見守られながら、ただ静かに夜空を眺めていた。
精霊の体では感じる事の出来ない、心地よい温もりを感じながら。
「てりゃぁーっ!!」
「はぁっ!」
アルカディアと呼ばれる場所、そこで幽羅と二人で依頼をこなす。
次々と現れる敵を、素早い動きで倒していく。
幽羅の援護もあり、普段ではあまり出来ない動きもある程度可能になっていた。
「幽羅っ!」
「りょーかいっ!みんな、お願いっ!」
幽羅の風魔法で、群がる敵を一気に空へと舞い上げる。
それと同時に、怨念桜の槍を具現化する。
幽羅への影響は以前に比べ大幅に少なくなっている。
「その場を動くなよ……!」
「大丈夫っ!」
幽羅が我の背後に回る。それを確認して、槍を地面に突き立てる。
広い場所でしか使えない技……直後、周囲の地面から無数の鋭く赤い針が放たれた。
宙を舞っていた敵を貫き、亡骸があたりに降り注ぐ。
……普通の冒険者がこの光景を見たら、気を失ってしまいそうだな……
「……やっぱり、それ使ってると色々と派手になるよね……」
苦笑しながら言う幽羅。確かに、派手な技が多いかもしれないな……
……亡骸は少しずつ形を失い、砂となって消えた。
「まぁ、あまり気にしないでくれ……」
「そだね……でもこれで、ここ一帯のは落ち着くかな?」
「恐らくはな。元を断つ必要もあるだろうが……今は大丈夫だろう。」
……この大量発生は……何処かに原因があるはずだ。
あの黒い魔物とも関連しているかもしれない。
「ねぇ、咲耶ちゃん……」
「ん?何だ?」
「あたしは……力になれたかな?」
少し心配そうに幽羅が言う。かつて、エアリナも同じ事を言っていた。
「十分に力になっているさ、これからも頼むぞ。」
「……うん、ありがとう。」
我はその時と同じ答えを返した。その答えに微笑む幽羅。
ふと、幽羅の後ろに一瞬エアリナの姿が見えた気がした。
「咲耶ちゃん、どうしたの?」
「……いや、なんでもない。それじゃあ、帰ろうか。」
「うん!」
そのエアリナも、微笑んでいたように見えた。
……幽羅は、しっかりと意思を受け継いでいるのだ。これでいいのだろう?エアリナ……
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