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それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
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広い草原と青空。近くには風車が回っている。そこに涼しい風が吹く。
あの夏の暑さはもう感じられない。
……今日は、戦う気になれない。我にしては珍しい事だ。

「……いい風だな。」

身近に風を操る存在が居ると、少し不思議な感覚がする。
今の幽羅は、この世の全ての風を操る事が出来るのだ。
もっとも、人間が言う所の天変地異を起こそうするなら許可が必要だが……
そもそも、そんな事態になる事こそ稀な事だ。

「その気は無いだろうな……」

幽羅の事だ、そんな事は考えてはいないだろう。
それに関する記憶もあるだろうが、エアリナの時もそんな事は無かった。
……まぁ、我が考えた所でどうにもならないか。

「さて……」

もう少し、近くを歩いてみよう。こう言う時間も悪くない。



「……いい風だなぁ……」

テラスに風が吹いてる。精霊達が作った、とってもいい風。
大精霊になっても……自分が風を操る存在になっても、こうやって素直に感じられる。
……ううん、大精霊になったからって、そこまで価値観が変わるなんて事も無いと思う。
大精霊だからってそう威張る事でもないと思うし……咲耶ちゃんも、そんな感じだった。

「……操る、かぁ……」

今のあたしなら、この世界の風を操る事が出来る。
……そうは言っても、それは一人でやっちゃいけない事。
そもそも、そんな事をする必要なんて無い。

「大丈夫、だよね……」

今まで、そんな事は無かったんだから、きっと……うん、大丈夫。
たとえ力を持っても、思いは、変わらないから……



エルパの砂漠で大量の魔物が現れたから掃討して欲しい……って依頼を受けた。
正直、こんなに多いと思って無かったし、見た事の無い魔物も混じってた。

「てやぁーっ!!」

風を纏って蹴る。咲耶ちゃんから習った蹴りに、風を纏わせて見みた。
魔物の群れがバラバラになりながら飛んでいく……あんまり見たくない光景だけど……
いくらなんでも多すぎるって、これ……

「あぁもう、後ろから来るなーっ!」

魔法で上手い事距離を離してから……うん、このあたりで……!

「みんな……お願いっ!」

前に、闇の森で使ったあの魔法……目の前に大きな竜巻が起こる。
巻き込まれて魔物がどんどん消えていく。

「これで最後っ!えぇぃっ!!」

そこにもう一度魔法を重ねる……そこだけ、大嵐になるほどの魔法。
多分、近くに人がいたらびっくりすると思う……自分でもびっくりするぐらい。
竜巻が消えると、そこにはもう魔物は居なくなってる。

「ふぅ……疲れたぁ……」

近くの石段に座って、空を見上げてため息。
普段なら、誰かと一緒に戦う所だけど、一人だとやっぱり大変……
力を多く使うし、動きも多くなる。うーん、やっぱりそう言う所は咲耶ちゃんは強いよなぁ……

「幽羅!」
「あれ、咲耶ちゃん?」

声のした方から、咲耶ちゃんが走ってきた。もしかして、あたしの事心配して……?

「雪乃から話は聞いた。大丈夫だったか?」
「ちょっと疲れちゃったけど、大丈夫だよ~。」
「そうか……幽羅が出た後、依頼主が予想していたより多い数が出現したと手紙をよこしてな……」
「えっ、そうなの!?」

……もしかして、あたしって結構な数倒してたのかな……?
でも、あれぐらいって今までにも何度かあった気がするけど……うーん。

「どれ程の数が居た?」
「うーん、数えては無いけどさ……レイヴァラントさんと一緒に熊を退治しに行った時かな?
 あれよりは少し多い気がする……かな。」
「ふむ……そうか。」

何だか難しい事を考えてそうな感じがする……別の場所で何かあったのかな?

「それなら、かなりの数を一人で倒したと言う事になるな。」
「えっと……うん、そうだと思う。」
「……ふふっ、これなら我の仕事が少し減りそうだな。」

嬉しそうに笑う咲耶ちゃん。
……そう言えば、こう言う依頼は大体咲耶ちゃんが一人でやってた気がする。

「あっ……えへへ、あたしだって頑張ってるんだよ?」
「今回の事でよく分かったよ。これからは幽羅にも事を任せる事もあるだろう。その時は頼むぞ。」
「うんっ!」

咲耶ちゃんの……みんなの力になれるなら。
大精霊の力……もっと、使いこなせるように頑張らなくちゃ。

「はぁ~、でも疲れたよ……」
「ここは暑いから余計に疲れるだろう……エルパで休んでから帰るとしようか。」
「だね~……」

……でもその前に、まずは体力を付けた方がいいのかも……
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