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それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
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一人、アルフォードの部屋で二人の帰りを待つ。
他の部屋に比べて明らかに装飾が少なく、派手さが無い部屋。
本人はこうでないと落ち着かないと言っていた。

「よく分からない男だ……」

神々の王である存在。だが、普段のアルフォードからはそんな気配を感じない。
堅苦しい事は好きではない、とは言っていたが……そもそも神王と言う立場からすれば
簡単に避けられる事ではないだろう。何しろ、王と言う立場だ。
……我も本来であれば、こうしている筈では無かっただろうな。
恐らく、今よりは落ち着いていただろう。時期が悪かったと言えばそうなのかもしれないが……

「……考えすぎ、か……」

前にエアリナが言っていた。悪い癖だ……もう少し、気楽に生きてみたいものだ。
当面、出来そうも無いのだがな……



「ここが魔界のお城……」
「魔界は始めてかい?」
「はい……何か、想像と違う……」

魔界のお城の中……何だけど、色合いとかそう言うの以外は神界のお城と変わらない気がした。
神界が白なら魔界が黒……うーん、何かこう、怖い感じがあったけど、全然そんなのじゃない。

「まぁ基本は神界とあんまり変わらないからね。観光していくかい?」
「……また、今度に。もっと時間がある時にこようかな。」
「そうだね……あんまり待たせたくないしね。それじゃ、挨拶に行こうか。隣の部屋だよ。」

色々見て行きたいとは思ったけど、みんなが待ってる。早く挨拶に行かなきゃ。

「失礼します……魔王殿。」
「……ほほう……随分と若い大精霊だな?」

少し暗くて、何だか色々な装飾があって、大きなベッドにテーブル……
魔王様はソファーに座っていた。長くて黒い髪に、真っ黒な服。銀色の目がこっちを見てる。
……何か、ちょっと怖い。

「は、はい……神樹幽羅と申します。」
「そんなに硬くならなくても構わんよ。君は、あの咲耶の友人だそうだな?」
「え?はい、そうですけど……」

そう言うと、魔王様はちょっと俯いていた。前に、何かあったのかな……?

「……本来ならば、色々と話をしておきたい所のなのだが……待たせているのだろう?
 私の事は気にせず、早く向かってやって欲しい。」
「えっ?……いいんですか?」
「これぐらいしか、私は彼女にしてやれないからな……」
「……魔王殿、貴方はまだ……」

神王様が続きを言おうとするのを手で止めた。
やっぱり、咲耶ちゃんと魔王様には、何かあったんだ……でも、聞かない方がいい気がする。

「それじゃあ……あたし、行きますね。」
「ああ、分かった。気をつけてくれ。」

気にしてくれたんだ……あたしと、咲耶ちゃんの事。
……落ち着いたら、もう一度挨拶しにここに来よう。

「……ではまた、魔王殿。」
「……うむ。」

部屋を出て、すぐに神界に戻った。何だか、神王様の表情が暗かった。

「咲耶の所に行こう。そうしたら、もう一度肉体を構築しよう。」
「はい。」

……やっぱり、王様だからかな。あたしには想像出来ないような大きな事、
きっとたくさん経験してきた……その中に、魔王様の事もあるのかな。
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