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それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
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部屋の整理も終わり、少し休んでいた時。ふと、奴の気配を感じた。
……事前に合図ぐらいして貰いたいものだが……

「む……アルフォードか?」
「え、神王様っ!?」
「やれやれ……幽羅、その格好ではなく、大精霊としての格好になったらどうだ?」

慌てる幽羅に一声。流石に大精霊にもなって普段の服と言うのも難がある。

「え、えっと……えいっ!」

その声と同時に幽羅の身体が一瞬光に包まれ、次の瞬間には大精霊としての格好になっていた。
それは、前にエアリナとして我の前に現れた時の幽羅の格好に、多少装飾を追加したもの。
……流石に、幽羅の身体を通していた時は完全に再現できなかったんだろう。
風の精霊の象徴でもある羽は、この格好の時は一時的に隠される。
任意で出し入れが可能だと、聞いた事があるな。

「うーん……似合ってるかな?」
「ほほう……似合っているぞ、幽羅。」

幽羅の姿にエアリナの姿が重なる。
まだ幼さは残っているが……それでも、威厳を感じる姿だ。
……幽羅が、大精霊か……少し前から分かっていた事だが……

「様になるのだな……」
「ん?なぁに?」
「いや、何でも無い……」

実際にその姿を見る。何故だか、不思議な感覚だ。
今までの幽羅と傍にいる時間が長かったからだろうか?
と、考えている時。

「やぁ、咲耶、幽羅ちゃん。」
「アルフォード……事前に連絡ぐらい出来ないのか?」
「あはは、ごめんごめん。早く幽羅ちゃんの姿を見たかったからさ。」

悪びれた様子も無く、笑顔を見せるアルフォード。
空気が読めるのか読めないのか……まぁ、こやつらしい所だが。

「……幽羅ちゃん、立派になったね。急に大人になった感じがするよ。」
「えへへ……そうかな?」

照れる幽羅。確かに、成長したな……少し前とは違う……急激な変化だな。

「さて……大精霊になったばっかりなのに悪いけれども、この後の事を伝えておくよ。」
「……神界と魔界に顔出し、か。」
「あ……」

幽羅も分かっているようだが……大精霊となり、まず行う事がある。
我も体験したが……これが中々緊張したものだ。

「幽羅ちゃんにはこの後、神界と魔界に行って、神界では上位神達に、
 魔界では魔王様に顔合わせをしてもらう事になるよ。
 まぁ、そんなに時間の掛かる事ではないし、後は一言二言言ってもらうだけだから、
 そんなに緊張する事は無いと思うよ。」
「いや、緊張すると思います……」

幽羅の声が少し小さくなった。まぁ、そうだろうな……
魔界はともかく、神界では多くの神々を相手に話す事になる。
……この辺りは、我が手助けする事は出来ない。必ず一人で行く決まりになっている。

「……懐かしいな。」
「あの時の咲耶は結構緊張してたねぇ。本当に懐かしいよ。」
「……お前に言われるとどうも気に食わないな……」
「咲耶ちゃんが緊張する程なのかぁ……」

今の我を見ている幽羅にはあまり想像出来ないだろう。
まぁ、最初から今の様であれば、苦労はしなかっただろうが……

「まぁ、気楽に行けば大丈夫さ、幽羅。すぐに終わる。」
「う、うん……頑張るよ。」

緊張をほぐすように幽羅の肩を軽く揉んでやった。

「それと、二人は落ち着いたらまた神界に来てほしいんだ。もう一度、肉体を構築し直さないと。」
「……ああ、そうだな。あまり二人を待たせたくは無いのだ。」
「あっ……うん、そうだね。」

伝言を送ったとは言え、雪乃と羽衣を待たせたくは無い。
なるべく手早く済ませて、早く戻らなければ。

「すまないな、アルフォード……」
「いいんだよ咲耶。私に出来る事は少ないからね。それに……咲耶達には頑張ってもらってるから。」
「……なぁに、半分は我自身の意思の下だ。気にする事は無いさ。」

こうして仲間を思う事が出来るようになったのは……ある意味、アルフォードのおかげだな……
大精霊二人が肉体を持ち行動している……普通ならあり得ない事だ。
……自然と、暗黙の了解になってしまうものだ。

「それじゃあ二人とも、そろそろ行こうか。」
「わかった。幽羅もいいな?」
「う、うん、大丈夫。」

まだ少しぎこちないが……まぁ、仕方ないな。
道中で少しでも緊張を解せればいいのだが……
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