それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
細い道を抜けた先。
月明かりに照らされた、何もない場所。
まるで、そこだけ別の世界のように静かで、綺麗な広場。
ここが……聖域。
『着いたわね……』
「はい……」
『懐かしいわ、こうしてこの場所に来るのは何年ぶりかしら……』
とても気持ちいい風が吹いて、何だか安心できる。
さっきとは全然違う……何処かで、感じた事がある……
「大精霊様は、何度もここに来た事があるんですか?」
『ええ。一人でゆっくり考え事したい時によく来たわ……』
この感じ。私が生まれた時に、感じたあの空気。
とても優しい、暖かい感じに包まれて……
「ここで、私が大精霊になるんですね……」
『そう……そして、あたしが消える場所でもある。』
「……怖くは、ないんですか?」
引継ぎをした時、元の大精霊様は消えてしまう……それが決まり。
咲耶ちゃんも、何れその時が来るって言ってた。
けど……自分が消えるなんて……
『怖くはないわ。こうやって引継ぎを行うのも大精霊の役割だし、
それに……あたしと言う存在が完全に消えるわけではないから。』
「え?」
大精霊になった時、消えない……?どう言う事なんだろう……
『そうね……例えるとしたら、世界と一つになる、かしら。』
「世界と、一つに……?」
『そう。あたし達精霊は世界から生まれた。だから最期には世界に還る……そう考えているの。
風の精霊は風の化身でもあるのだから……あたしは、世界を吹き抜ける風になる。』
風になる……他の仲間が消える時にも、聞いた事がある言葉。
大精霊様も、やっぱり同じ……
『残念なのは、本来の体でそれを感じられない事ね……まぁ、これはあたしのミスなんだけれども。』
「……そうだ、どうして大精霊様は……」
『ねぇ、幽羅ちゃん……あたしの事は、エアリナって呼んで。あんまり堅苦しくても、ね?』
「あ……はい。それじゃあ……エアリナ、様……」
そう言われても、やっぱり大精霊様の前……どうしても、緊張する。
『まぁ、それでいいかしらね……それで、何か聞きたい事が?』
「はい……あの、どうしてエアリナ様の体が無くなってしまったんですか……?」
『……そうね……もう、随分前の話だけども……』
何か悲しい感じがした。きっと、この感じは……エアリナ様の物なんだろう……
『貴方が生まれる、少し前ぐらいかしら。空間に招かれざる客が来てしまったのよ。
混乱を防ぐために、表面上は何事も無かった事になっているけども……』
「招かれざる客……?」
『貴方も見た事がある……異形の魔物……まさか、空間を干渉してくるとは思ってなかった……』
「そ、そんな……エアリナ様は、それに……」
あの魔物が……精霊界に……!?
そんな、事が……だからエアリナ様は、体を……
『……詳しい事は、引継ぎの時に分かるわ。咲耶から引継ぎの事は聞いたかしら?』
「はい。引継ぐ時に、一度元の大精霊様の記憶を辿るって……」
『ええ、その時に全てが分かるわ……引継ぎで一番負担になるのだけれども……』
……咲耶ちゃんから聞いた事がある。
引継いだ時、力以外にも、前の大精霊様の記憶も引継いで行く。
そして、最初に一度、その記憶を、部分的に辿って行く……
その時が最も体に負担が掛かるって……
「本当に、私で大丈夫なんでしょうか……?」
『……貴方は、今まで咲耶の傍で一緒に戦ってきた。そうでしょう?』
「でも……」
『大丈夫。自信を持って……貴方なら上手く行くわ……』
私が、大精霊になる……少し前まで、そんな事一度も考えた事は無かった。
でも……今はもう、それが目の前にまで来ている。
ここまで来たなら……もう、逃げちゃダメなんだ。
他のみんなのためにも……私が、大精霊になるんだ。
「……はい。」
『いい返事よ……さぁ、始めましょうか。』
……みんな……私、頑張るよ……!
月明かりに照らされた、何もない場所。
まるで、そこだけ別の世界のように静かで、綺麗な広場。
ここが……聖域。
『着いたわね……』
「はい……」
『懐かしいわ、こうしてこの場所に来るのは何年ぶりかしら……』
とても気持ちいい風が吹いて、何だか安心できる。
さっきとは全然違う……何処かで、感じた事がある……
「大精霊様は、何度もここに来た事があるんですか?」
『ええ。一人でゆっくり考え事したい時によく来たわ……』
この感じ。私が生まれた時に、感じたあの空気。
とても優しい、暖かい感じに包まれて……
「ここで、私が大精霊になるんですね……」
『そう……そして、あたしが消える場所でもある。』
「……怖くは、ないんですか?」
引継ぎをした時、元の大精霊様は消えてしまう……それが決まり。
咲耶ちゃんも、何れその時が来るって言ってた。
けど……自分が消えるなんて……
『怖くはないわ。こうやって引継ぎを行うのも大精霊の役割だし、
それに……あたしと言う存在が完全に消えるわけではないから。』
「え?」
大精霊になった時、消えない……?どう言う事なんだろう……
『そうね……例えるとしたら、世界と一つになる、かしら。』
「世界と、一つに……?」
『そう。あたし達精霊は世界から生まれた。だから最期には世界に還る……そう考えているの。
風の精霊は風の化身でもあるのだから……あたしは、世界を吹き抜ける風になる。』
風になる……他の仲間が消える時にも、聞いた事がある言葉。
大精霊様も、やっぱり同じ……
『残念なのは、本来の体でそれを感じられない事ね……まぁ、これはあたしのミスなんだけれども。』
「……そうだ、どうして大精霊様は……」
『ねぇ、幽羅ちゃん……あたしの事は、エアリナって呼んで。あんまり堅苦しくても、ね?』
「あ……はい。それじゃあ……エアリナ、様……」
そう言われても、やっぱり大精霊様の前……どうしても、緊張する。
『まぁ、それでいいかしらね……それで、何か聞きたい事が?』
「はい……あの、どうしてエアリナ様の体が無くなってしまったんですか……?」
『……そうね……もう、随分前の話だけども……』
何か悲しい感じがした。きっと、この感じは……エアリナ様の物なんだろう……
『貴方が生まれる、少し前ぐらいかしら。空間に招かれざる客が来てしまったのよ。
混乱を防ぐために、表面上は何事も無かった事になっているけども……』
「招かれざる客……?」
『貴方も見た事がある……異形の魔物……まさか、空間を干渉してくるとは思ってなかった……』
「そ、そんな……エアリナ様は、それに……」
あの魔物が……精霊界に……!?
そんな、事が……だからエアリナ様は、体を……
『……詳しい事は、引継ぎの時に分かるわ。咲耶から引継ぎの事は聞いたかしら?』
「はい。引継ぐ時に、一度元の大精霊様の記憶を辿るって……」
『ええ、その時に全てが分かるわ……引継ぎで一番負担になるのだけれども……』
……咲耶ちゃんから聞いた事がある。
引継いだ時、力以外にも、前の大精霊様の記憶も引継いで行く。
そして、最初に一度、その記憶を、部分的に辿って行く……
その時が最も体に負担が掛かるって……
「本当に、私で大丈夫なんでしょうか……?」
『……貴方は、今まで咲耶の傍で一緒に戦ってきた。そうでしょう?』
「でも……」
『大丈夫。自信を持って……貴方なら上手く行くわ……』
私が、大精霊になる……少し前まで、そんな事一度も考えた事は無かった。
でも……今はもう、それが目の前にまで来ている。
ここまで来たなら……もう、逃げちゃダメなんだ。
他のみんなのためにも……私が、大精霊になるんだ。
「……はい。」
『いい返事よ……さぁ、始めましょうか。』
……みんな……私、頑張るよ……!
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