忍者ブログ
それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
<< 2024 / 11 / 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
[47] [48] [49] [50] [51] [52] [53] [54] [55] [56] [57]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

その日の夜。空には多くの星が輝いていた。
一人、窓からそれを眺める。
……涼しい風だ。昨日を思い出す。

「エアリナ……」

二度と言葉を交わす事の無い友の名を呟く。
存在が消え、力は引き継がれる。力を持ち続ける事は出来ない。
何れは、限界が来るのだ。そう、それは、我にも……

「……何を恐れているのだ……我は……?」

この心の揺らぎは何だ。過去に対する物か?未来に待つ死か?
……我とした事が……

「咲耶ちゃん、入るよ?」
「……幽羅か。いいぞ。」

寝間着姿の幽羅が入ってきた。

「寝なくて大丈夫なのか?」
「ううん、寝る前に、咲耶ちゃんに聞きたい事があるの。」
「何だ?」

幽羅は真剣な表情をしている。
恐らくは、エアリナの事だろう……

「咲耶ちゃんは……私の夢の事、本当は知ってたの?」
「……ああ。」
「……やっぱり、そうなんだ……」

俯く幽羅。仕方ないとは言え……心苦しい。

「すまない、幽羅。だが、これはお前の事を考えて……」
「ううん、いいの。私は大丈夫。」
「幽羅……」

幽羅が我の隣に立った。遠い夜空を見ている。

「この夢の事は……きっと、誰にも頼っちゃいけない事なんだと思う。
 咲耶ちゃんも、それを分かっていて言わなかったんでしょ?」
「ああ、そうだ……」
「だったら、咲耶ちゃんが知ってても、もうこれ以上は聞かないよ。自分の力で、何とかする。」
「幽羅、お前は……」

その言葉には、明確な意思があった。己の力だけで、終わらせると。

「大丈夫だよ。私だって、ちゃんとやるべき事はやらなきゃ。」
「そう、だな……」
「だから、咲耶ちゃんは心配しなくても大丈夫!すぐに解決するよ!」
「ふふっ、そうだな。それでこそ幽羅だ。」

力強い笑顔。ああ、幽羅の事なら心配は無用だろうな。
我の思い違いなのかもしれない……

「……もう寝ておけ。今日はもう疲れているだろう?」
「うん、そうするよ。それじゃあ、咲耶ちゃん、おやすみ。」
「ああ、おやすみ、幽羅……」

そっと部屋を出る幽羅。こうして話している間も、気配にはエアリナの物が混じっていた。
だが、大丈夫だろう。幽羅のあの強い意志があれば、問題は無い。

「……ああ、心配は無いさ……」

己自身に言い聞かせる。
大丈夫だ、幽羅なら、やり遂げてくれる……
PR
Add a comment:
name
title
e-mail
URL
color
comment
pass
Comment:
Trackback:
Trackback URL:

忍者ブログ [PR]