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それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
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「よっ!それっ!ええいっ!」

庭に幽羅の声が響いている。
珍しく一人で武術の訓練をしていた。
我はそれを近くに置いてある椅子から眺めていた。

「とりゃー!……おわっとと!?」
「む……」

連続回し蹴りの途中、体勢を崩したか、尻餅をついていた。

「いたた……」
「久しぶりの大技は失敗か?幽羅。」
「うー……咲耶ちゃんの様にはいかないね~……」

今日の幽羅は運動用の軽装だった。
頭には金色の鉢巻をしている。

「しかし、いい動きをしているな。風魔法の補助なしでそこまで動ければ上出来だ。」
「う~ん、でももっとちゃんと出来ればなぁ……」
「何、無理をする事もないだろう。後は風魔法の補助も利用すればいい。」
「わかったよ。よ~し、もう一回だ!」

手に持っている翡翠の輪が煌く。
目にも留まらぬ、拳と足の連続攻撃。
風魔法の補助も入り、その動きは素早いのに安定している。

「はっ!たぁっ!ええいっ!!」
「おお……今度は上手くいったか。」

失敗した蹴りも今度は綺麗に決まっていた。

「ふぅ……流石に疲れたなぁ。」
「一旦休んだらどうだ?今まで殆ど休みなしだったぞ。」
「うーん、そうだね。ちょっと休むよ。」

幽羅は隣の椅子に座った。かなり汗をかいているようだった。
息も少し上がっている。

「大丈夫か?」
「ちょっと疲れちゃったけど、大丈夫だよ。」
「そうか……それにしても、どうして急に練習をしようと思ったんだ?」
「ん~……気分転換、かなぁ。最近、あの夢をよく見るんだけど……」
「……何かあったのか?」

エアリナの干渉が強くなってきているのか……
幽羅は、それを少しずつ理解しているのだろうか。

「ううん、大した事じゃないんだ。それに……」
「それに?」
「きっと、この事は自分の力だけで何とかしないといけないと思う。」
「……そうか。」

意識はしているようだ……我が手を出す事もなさそうだ。
そう、これは幽羅自身が、己の力のみで解決するべき事項なのだ。
大精霊の引継……我でも、神王も介入出来ない……

「よっし、もうちょっと頑張ろうっと!」
「今度は我も立ち会おう。」
「あ、本当に?じゃあお願いっ!」

たまには、こうして手合わせするのもいい。
これで、少しでも幽羅の気分が戻ってくれれば。

「よ~し、いっくよ~!」
「さぁ来い!」

幽羅の鋭い攻撃……うむ、成長したな。
まだまだ、幽羅には未来があるのだ。この引継で、それを閉ざさぬよう……
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