それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
深い森と、そこに吹き抜けてく風。
高い木に登れば、見渡す限り緑の世界。
ここは、私の住んでいた場所。
風と森の空間……でも、どうして夢で……?
咲耶ちゃんは何か知ってる……でも、きっと聞いちゃいけない事なんだと思う。
「早く……ここへ…………お願い……」
もっと……もっと、声の近くに。
何処かで聞いた事がある……この、声に。
霧は少しずつ晴れてきてる。間違いない、ここは風と森の空間……
「……急がなきゃ……」
時間が無いような、そんな気がする。
早く、声の傍に……
「……はふ……」
……また、途中で目が覚めちゃった。
あの声が誰なのか、わからないけど……
でも、絶対何処かで聞いた事があるはず。
何とかして、声のする場所に行かなくちゃ……
この情勢の中、珍しく今日は暇だった。
一日暇だったが、何故か気分が晴れていない。
夜、窓を開けると、涼しい風が吹き抜けた。
「……我の過去、か……」
今はこうして自由にしている。
だが、あの時……我は、戦いに縛られていた。
精霊と言う身でありながら、戦い続けたあの日々……
「……ふぅ。」
これ以上考えるな……もう、過去なのだ。
今は今なのだ、深入りしてはいけない……
「……咲耶。」
「……エアリナか。」
気配はしていた。だが、乱れが生じている。
……本当に、時間が無いのだな……
「早めに、お別れを言っておこうと思ってね。もう、こうして話す事も出来なくなりそうだから。」
「……そう、か……」
「あたしとしては、もう少しスッキリした形にしたかったんだけどもね……」
「無理はするな……ただでさえ不安定なのだ。崩壊させてしまっては元も子もないぞ。」
崩壊させてしまえば、二人は消え、世界の秩序も乱れる。
過去に何度か、そうなってしまった事があると聞いた事がある。
かなり、悲惨な事になっているようだ……
「そんなの分かってるわよ。分かって……」
エアリナらしくない、自信の無い声。
……無理もないが、な……
「……手順はどうするつもりだ?」
「まずは、この子の姿を借りて何とかするって所かしらね……」
「そうするしかなかろう。だが……今こうしていられるのは、ある意味肉体を持っているからでもあるぞ。
肉体との関連付けが無くなった状態、これをどうするつもりだ?」
「……関連付けが無くなった瞬間に、引継ぎ用の空間を出す。これ以外に方法は無いわ……」
ここまで複雑な引継ぎの手順は聞いた事が無い。
だが、これしか手段は無い。それは本人が一番分かっているだろう。
「一瞬でも機会を逃せば終わり、か……この状況では仕方あるまいか。」
「あたしらしくないわね、ほんと……でも、やるしかないわ。しくじったらごめんなさいね、咲耶。」
「縁起の悪い事を言うな。落ち着いてやれば大丈夫だろう。」
「そうね……」
エアリナも窓の傍に立った。爽やかな風が吹いている。
「ねぇ咲耶……最後に、お願いしてもいいかしら。」
「何だ?」
「……この子の事、改めてお願いするわ。きっと、大精霊になってもっと辛い事になると思うから……」
「……ああ、任せておけ……」
「ありがとう、咲耶……」
二人で空を見上げる。雲は少ない、綺麗な星空だ。
「それじゃあ……咲耶。今まで、ありがとうね。」
「ああ……」
「もしかしたら、また精霊として生まれ変わるかも?なんてね。」
「ふふっ、そうだといいな。」
最後の笑顔。もう、エアリナには会えなくなる。
「……本当に、お願いね……」
「……ああ……」
そっと手を繋ぐ。そしてそっと、抱き合った。
これで……本当に、最後の……
高い木に登れば、見渡す限り緑の世界。
ここは、私の住んでいた場所。
風と森の空間……でも、どうして夢で……?
咲耶ちゃんは何か知ってる……でも、きっと聞いちゃいけない事なんだと思う。
「早く……ここへ…………お願い……」
もっと……もっと、声の近くに。
何処かで聞いた事がある……この、声に。
霧は少しずつ晴れてきてる。間違いない、ここは風と森の空間……
「……急がなきゃ……」
時間が無いような、そんな気がする。
早く、声の傍に……
「……はふ……」
……また、途中で目が覚めちゃった。
あの声が誰なのか、わからないけど……
でも、絶対何処かで聞いた事があるはず。
何とかして、声のする場所に行かなくちゃ……
この情勢の中、珍しく今日は暇だった。
一日暇だったが、何故か気分が晴れていない。
夜、窓を開けると、涼しい風が吹き抜けた。
「……我の過去、か……」
今はこうして自由にしている。
だが、あの時……我は、戦いに縛られていた。
精霊と言う身でありながら、戦い続けたあの日々……
「……ふぅ。」
これ以上考えるな……もう、過去なのだ。
今は今なのだ、深入りしてはいけない……
「……咲耶。」
「……エアリナか。」
気配はしていた。だが、乱れが生じている。
……本当に、時間が無いのだな……
「早めに、お別れを言っておこうと思ってね。もう、こうして話す事も出来なくなりそうだから。」
「……そう、か……」
「あたしとしては、もう少しスッキリした形にしたかったんだけどもね……」
「無理はするな……ただでさえ不安定なのだ。崩壊させてしまっては元も子もないぞ。」
崩壊させてしまえば、二人は消え、世界の秩序も乱れる。
過去に何度か、そうなってしまった事があると聞いた事がある。
かなり、悲惨な事になっているようだ……
「そんなの分かってるわよ。分かって……」
エアリナらしくない、自信の無い声。
……無理もないが、な……
「……手順はどうするつもりだ?」
「まずは、この子の姿を借りて何とかするって所かしらね……」
「そうするしかなかろう。だが……今こうしていられるのは、ある意味肉体を持っているからでもあるぞ。
肉体との関連付けが無くなった状態、これをどうするつもりだ?」
「……関連付けが無くなった瞬間に、引継ぎ用の空間を出す。これ以外に方法は無いわ……」
ここまで複雑な引継ぎの手順は聞いた事が無い。
だが、これしか手段は無い。それは本人が一番分かっているだろう。
「一瞬でも機会を逃せば終わり、か……この状況では仕方あるまいか。」
「あたしらしくないわね、ほんと……でも、やるしかないわ。しくじったらごめんなさいね、咲耶。」
「縁起の悪い事を言うな。落ち着いてやれば大丈夫だろう。」
「そうね……」
エアリナも窓の傍に立った。爽やかな風が吹いている。
「ねぇ咲耶……最後に、お願いしてもいいかしら。」
「何だ?」
「……この子の事、改めてお願いするわ。きっと、大精霊になってもっと辛い事になると思うから……」
「……ああ、任せておけ……」
「ありがとう、咲耶……」
二人で空を見上げる。雲は少ない、綺麗な星空だ。
「それじゃあ……咲耶。今まで、ありがとうね。」
「ああ……」
「もしかしたら、また精霊として生まれ変わるかも?なんてね。」
「ふふっ、そうだといいな。」
最後の笑顔。もう、エアリナには会えなくなる。
「……本当に、お願いね……」
「……ああ……」
そっと手を繋ぐ。そしてそっと、抱き合った。
これで……本当に、最後の……
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