それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
「……酷いものだな。」
「そうねぇ……」
大部屋は荒れに荒れていた。
占領されていたせいもあったが、何よりあの魔法の影響が大きいだろう。
「まぁ、ここの部屋って元々使ってなかったから酷かったんだけど。」
「それを狙われたか?」
「かもしれないわね~……」
今は何も気配がしない。残り香すらない。
「……ここを選んだのは、やはりエリアスに近いからか……」
「そうかもしれないわ……私、あいつらが何か話してたの、盗み聞きした事があるんだけど……」
「何を言っていた?」
「んーと……エリアスを葬れば世界は混乱するとか何とか……」
「……本格的に狙っていたようだな。」
やはり、エリアスを崩すつもりだったのか……
あの魔物が居た場所は、血の一滴も残されていない。
残骸はおろか、気配すら消し飛ばす程の魔法……
エアリナは焦っている。引継ぎがもし、遅れれば……
その影響は確実に、全ての世界に影響する。
「それにしても、あの子がやったの?これ。」
「……一応、な。」
「ふ~ん……ま、こっちとしては厄介事が無くなって助かったけど……あ、そうそう。」
「何だ?」
我が戻ろうとした時、呼び止められた。
「後であの子に服、渡しておいてくれる?頑張ったご褒美、なんてね。」
「……わかった。」
約束していた通り、服を受け取った。
これで、少しは気分がよくなってくれればいいが……
「幽羅、もう大丈夫なのか?」
「うん、平気だよ。ごめんね、心配させちゃって……」
「いや、いいんだ……」
部屋に戻った時、幽羅はもう起きていた。
一応、体力は回復したようだ。
「あ、咲耶ちゃん、もしかしてそれって……」
「ああ、約束通りだな。戻ったら試しに着替えてみるのもいいんじゃないか?」
「うん!」
幽羅に笑顔が戻った。やはり、幽羅は笑顔が一番だ。
「さて、では帰ろうか。世話になったな。」
「いいのよ。後の事は、私達でやるわ。」
「うむ。では、行くか。」
帰ったら報告書を書く必要がある。
だが……少々面倒だ。何しろ、本来存在すべきでない存在がそこにいたのだ。
この件は、水面下でなければならない。厄介な事だ。
その日の夜。
館に戻り、自分の部屋でゆっくりと本を読んでいた時の事だった。
「咲耶ちゃん、入るよ?」
「ん?ああ。」
来たのは幽羅だった。やはり、今日の事だろうか。
「あのね……今日、雪乃ちゃんと羽衣ちゃんに聞いたんだけど、私が別人みたいに見えたって……」
「……ああ、そうだったな……」
……当然だろう、な。雪乃は恐らく感づいたかもしれないが……
「でも私……その時にはもう何が起こってたかわからないの。意識が無かった……」
「意識を失う直前、どんな感覚だった?」
「なんだろ、突然何かが割り込んできた感じだった……」
恐らくはエアリナの干渉。強制的に幽羅の意識を封じさせたんだろう。
「でも……凄く、懐かしい感じがした。ずっと前に、感じたような……そんな気がする。」
「……あの時のお前は、本当に別人のようだった。あの強烈な魔力は……何か、別の意思が動いている。」
「咲耶ちゃん……本当は……ううん、なんでもない……」
「幽羅……」
……気づかれたか。だが、仕方あるまい……
「ごめんね、もう大丈夫……私、もう寝るよ。」
「ああ……おやすみ、幽羅。」
無言で部屋を出ていた。表情は暗かった。
「……我に出来る事は……」
……もう、我に出来る事は殆ど無いだろう……
後は……そう、幽羅自身で何とかするしかないのだ……
「そうねぇ……」
大部屋は荒れに荒れていた。
占領されていたせいもあったが、何よりあの魔法の影響が大きいだろう。
「まぁ、ここの部屋って元々使ってなかったから酷かったんだけど。」
「それを狙われたか?」
「かもしれないわね~……」
今は何も気配がしない。残り香すらない。
「……ここを選んだのは、やはりエリアスに近いからか……」
「そうかもしれないわ……私、あいつらが何か話してたの、盗み聞きした事があるんだけど……」
「何を言っていた?」
「んーと……エリアスを葬れば世界は混乱するとか何とか……」
「……本格的に狙っていたようだな。」
やはり、エリアスを崩すつもりだったのか……
あの魔物が居た場所は、血の一滴も残されていない。
残骸はおろか、気配すら消し飛ばす程の魔法……
エアリナは焦っている。引継ぎがもし、遅れれば……
その影響は確実に、全ての世界に影響する。
「それにしても、あの子がやったの?これ。」
「……一応、な。」
「ふ~ん……ま、こっちとしては厄介事が無くなって助かったけど……あ、そうそう。」
「何だ?」
我が戻ろうとした時、呼び止められた。
「後であの子に服、渡しておいてくれる?頑張ったご褒美、なんてね。」
「……わかった。」
約束していた通り、服を受け取った。
これで、少しは気分がよくなってくれればいいが……
「幽羅、もう大丈夫なのか?」
「うん、平気だよ。ごめんね、心配させちゃって……」
「いや、いいんだ……」
部屋に戻った時、幽羅はもう起きていた。
一応、体力は回復したようだ。
「あ、咲耶ちゃん、もしかしてそれって……」
「ああ、約束通りだな。戻ったら試しに着替えてみるのもいいんじゃないか?」
「うん!」
幽羅に笑顔が戻った。やはり、幽羅は笑顔が一番だ。
「さて、では帰ろうか。世話になったな。」
「いいのよ。後の事は、私達でやるわ。」
「うむ。では、行くか。」
帰ったら報告書を書く必要がある。
だが……少々面倒だ。何しろ、本来存在すべきでない存在がそこにいたのだ。
この件は、水面下でなければならない。厄介な事だ。
その日の夜。
館に戻り、自分の部屋でゆっくりと本を読んでいた時の事だった。
「咲耶ちゃん、入るよ?」
「ん?ああ。」
来たのは幽羅だった。やはり、今日の事だろうか。
「あのね……今日、雪乃ちゃんと羽衣ちゃんに聞いたんだけど、私が別人みたいに見えたって……」
「……ああ、そうだったな……」
……当然だろう、な。雪乃は恐らく感づいたかもしれないが……
「でも私……その時にはもう何が起こってたかわからないの。意識が無かった……」
「意識を失う直前、どんな感覚だった?」
「なんだろ、突然何かが割り込んできた感じだった……」
恐らくはエアリナの干渉。強制的に幽羅の意識を封じさせたんだろう。
「でも……凄く、懐かしい感じがした。ずっと前に、感じたような……そんな気がする。」
「……あの時のお前は、本当に別人のようだった。あの強烈な魔力は……何か、別の意思が動いている。」
「咲耶ちゃん……本当は……ううん、なんでもない……」
「幽羅……」
……気づかれたか。だが、仕方あるまい……
「ごめんね、もう大丈夫……私、もう寝るよ。」
「ああ……おやすみ、幽羅。」
無言で部屋を出ていた。表情は暗かった。
「……我に出来る事は……」
……もう、我に出来る事は殆ど無いだろう……
後は……そう、幽羅自身で何とかするしかないのだ……
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