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それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
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「ようやくか……」

多くの敵を倒し、ようやく邸宅の前まで到達した。
消耗がやや大きいが、仕方あるまい。

「皆、大丈夫か?」
「私は大丈夫ですよ。少し、力を多く使いましたけど……」
「僕も何とか。」
「……大丈夫、だと思う……」

幽羅の調子が気になるが……それに、この淀んだ空気。

「……そうか。よし、入るぞ。」

気は進まない。だが、やらねばならない……そっと、邸宅の扉を開く。

「……よく見えんな……」

中はやけに暗かった。蝋燭に火は灯っていたが、全てを照らすには足りなかった。
近くに魔物の気配は……無い。

「よし、慎重に行くぞ。何が出るかわからん……」

外はあんな状況だったのに、中はまるで気配がしない。
逆に怪しい。何かの罠なのか……とにかく、武器を構え、慎重に奥へと進んでいく。

「……何故ここまで魔物の気配がしないのだ……?」
「ねぇ咲耶ちゃん、何だか……何かが、怖がってるよ。」
「怖がっている?」

幽羅が何かを感じ取っているようだった。
怖がっている……何か、威圧するものがあるのだろうか。

「うん……よくわからないんだけど、そんな感じ……」
「そうか……」

奥に進むにつれ、僅かであるが気配を感じられる。しかし、それは普段感じるものとは違った。
攻撃的な物ではない、何か別の気配だった。

「何だ……?」
「あ、咲耶様!」

雪乃が声を上げる。誰かがそこにうつ伏せになって倒れていた。
慎重に近づき様子を見る。
背中の羽……吸血鬼か?噂には聞いていたが本当にこの館にいたとは。
やや派手目な可愛らしい……と、思う服も、所々破れてしまっている。
しかし……何があったんだ?

「……う~……私は食べてもおいしくないわよ~……」
「……何を言っているんだ……」

彼女はゆっくりと転がり仰向けになった。

「ん~……?あんた達……誰?」
「我々は命を受けてここの調査に来た。」
「ふーん……そう。人間以外が外から来るなんて珍しいわね。」

仰向けになったまま話す彼女。起き上がれないのか……?

「そうかもしれんな……それより、いい加減起きたらどうだ?」
「う~……血が足りないのよ~……ねぇ、あんたの血、分けてくれない?」
「……全く……」

仕方なく血を分け与えた後、話を聞いた。
それによると、特に何事もなかった館に、突如として見た事もない異型の魔物が出現し、
館を荒らした上、更に奥を占領している、と言う事だった。

「もう大変なのよ~。ねぇ、あんた達で何とかしてくれない?」
「まぁ、それで被害を出されても困るからな……何とかしよう。」
「う~ん……」

何やら彼女をまじまじと見る幽羅。
何か気になる所でもあったのだろうか。

「ん?どうした幽羅?」
「いや……この子の着ている服、かわいいなぁって……」
「……あのなぁ……」

今、そんな事を気にしている場合か……まぁ、気が紛れたのならいいが。

「あ、同じ服何着かあるから、あいつ倒してくれたら一着あげるわ。」
「ほんと!?これは頑張って倒さないとね!」

……緊張感が一気になくなってしまったようだった……
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