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それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
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「なっ!?」

突如として船が激しく揺れた。
思わず体勢を崩してしまう。

「ちっ……道連れにするつもりか!」
「さ、咲耶様!あれを!!」

雪乃が指差したあたりはすでに浸水し始めていた。
かなりの速さだ……

「く……ここから脱出するのには時間がかかる……」
「天井に大穴空けて飛んで戻れないかな!?」
「幽羅一人で二人を運ぶのは難しいだろう!」
「うぅ~……」

過去に似たような事態になった際、建物の天井を突き破り逃げた、と言う事があった。
だがしかしそれは幽羅が雪乃を運び、我は能力を使って飛んだ時。
今は羽衣がいる……どうする?
我の術は単独で飛ぶ事を前提としている上、それほど速く飛ぶ事ができない……

「待って下さい!僕なら、何とか……!」
「何?」

と、すでに羽衣は術式を展開していた。

「いきます!下がって!!」

羽衣と距離を置き、その術が発動した。
爆風……激しい炎が舞い上がり、船の天井を貫いた。
僅かだが月明かりがそこから差し込む。
と、羽衣の姿を改めて見るとその背中に炎で作られた翼がついていた。

「咲耶様!早く!!」
「……助かる!」

我は羽衣に捕まり、雪乃は幽羅に捕まった。
かなりの速さで沈む船……だが我々の速度はそれを上回っていた。

「船が……!!」
「……間一髪だったな……」

脱出直後、一気に船は海へと飲み込まれていった。
もう少し遅れていたら、間違いなく巻き込まれていただろう……

「はっ……船員は無事か!?」

空から様子を伺う。どうやら我々の乗った船は無事のようだ。
こちらに気づいたのか、船員達が手を振っている。
そのままふわりと船に着地した。

「怪我人は?」
「掠り傷が何人かいる程度ですよ!なんら問題ありません!」
「そうか……よかった。」

どうやらこちらの船の被害は殆どなかったようだ。
損傷も見当たらない。

「よし、帰ろう。これでこの海の一件も収まるはずだ。」
「了解っ!」

そして船はエルパ湾へと戻る。
ふと、空を見上げればそこには美しく輝く月と星達。
昂った心を落ち着かせてくれる……

「また……繰り返さなければいいのだが……」

そう、こんな時が、前にも……
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