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それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
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「ふぅ~、結構買ったね~。」
「そうですね……咲耶様や雪乃さんに怒られませんか?」
「大丈夫。多分。」
「あはは……」

なんだかんだで、結構沢山買っていた。
紙袋の中は服とアクセサリーが殆ど。それにしても、こんなに買って大丈夫かなぁ。

「でも、咲耶ちゃんも雪乃ちゃんも結構服あるから、これぐらい買ってもいいと思うよ。」
「幽羅さんも服は多いんですか?」
「うん。それなりにあるよ~。」

雪乃さんは分かるけど、咲耶様はどうなんだろう……
他の服を着ている所、ちょっと見てみたいかも。

「そうなんですか……わざわざありがとうございます。」
「ううん、いいんだよ。それに……羽衣ちゃんは私達の家族だもん!」
「あ……はいっ。」

家族って言葉を聞いて、すごく、心が温まる感じがした。
本当のお父さんとお母さんはもういないけど……でも、今は新しい家族がいる。
幽羅さんの言葉で、それを改めて実感できた。
僕はもう一人じゃないんだ。



「ただいま~!」
「ただいま戻りました。」
「あ、おかえりなさい。随分と買ってきましたね?」

大荷物を見て、雪乃さんはちょっと苦笑い。
……本当に大丈夫なのかなぁ。

「えへへ……でもいいでしょ?」
「ええ。咲耶様も、もうご存知みたいですよ。」

流石は咲耶様。もうお見通しだったのかぁ……
あれ?でも咲耶様は何処にいるんだろう?

「あれ?咲耶ちゃんは?」
「依頼が入ったようで、依頼主さんの所に行ってますよ。」
「そっかぁ。それじゃ羽衣ちゃん、一緒にお部屋の整理しよっか。」
「はい、わかりました。」

そういえば、まだちゃんと部屋の整理はしてなかったっけ。
僕が住む時に大雑把にはやったけど……細かい所まではやってなかったなぁ……

「私も手伝いますよ。ちょうど今は暇なので。」
「ありがと~!」

こうして、三人で僕の部屋を整理する事になった。
やっぱり、こういう生活がいいなぁ……



「ふむ、エルパ湾から出ればいいのだな?」
「おうよ。だがうちんとこの船員が、その海域に昼行ったんだが……同じ船でも雰囲気が
 全然違うんだとよ。話によりゃぁ、普通よりちょっと豪華な武具を売ってるらしい。」

エリアスのとある酒場。依頼は、夜間、エルパ湾から先にある海域に現れる幽霊船の探査。
……やはり何か異変に関連性があるんだろうか。

「成る程な……やはり、ここ最近の異変に噛んでいると思うか?」
「だろうな。ま、武人咲耶に敵無しだろう?頼むぜ。」
「わかった。船と少し船員を借りるがそれで構わないな?」
「おうっ!任せておけ!」


現段階での被害は船一隻がかなりの損傷を受けた程度で、まだ死人は出ていない。
そこで、被害が拡大する前に根本的に叩く作戦に出る。
今回は海上戦、何が起こるかわからない。あまり下手な事は出来ない……

「では、当日は頼んだぞ。」

そう言い残し、落ち合った場所を去る。
少しずつではあるが……今この世界に近づく『何か』がどういうものか。
それが形を見せ始めている……そんな気がする。



結構長く話していたせいか、家に戻ったのは夜だった。

「今戻った。」
「あ、おかえりなさい。」
「幽羅と羽衣はどうした?」
「今羽衣さんの部屋でお洋服の整理をしてますよ。」

……色々買ってきたようだな。まぁ、資金的にはまだ余裕がある。
たまにはいいだろう。

「そうか……ああ、依頼に関しての情報は得た。後で詳しく話そう。」
「わかりました。」

今回は大型の依頼だ。当日まではまだ若干の時間がある。
その間に、小さな依頼を少しこなしておかなくてはな。



「ふむ、中々似合ってるではないか。」
「えへへ~、そうでしょ~?」
「咲耶様に言われると……ちょっと、恥ずかしいです。」
「ふむ、そうか?まぁ、普段の衣装からすればよいと思うが。」

夜、羽衣の新しい服の小さなお披露目会が行われた。
他にもいくつかの服装もあり、その全てが似合っていた。

「ふふっ、よかったな羽衣。身近にこういう存在がいると言うのはいい事だろう?」
「はいっ!」

良い笑顔だ。以前とは全く違う。

「我らは家族だ。何も気負う事は無いさ。さて、お披露目は全て終わったし、食事にしようか。」
「は~い!」
「それじゃあ、用意してきますね。」

雪乃が台所に行き、幽羅と羽衣は席に着く。
元々テーブルは大きい。そして、今までは三人が座っていた。だがこれからは、四人だ。
こんな平穏な日々が、もっと長く続けばいいのだがな……
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