それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
「ここにいたか。」
「咲耶様……」
この村は比較的広い。
そんな村の全体に結界を張り巡らせていた猫神は、やはり上級神である。
今は人の姿になっているが、その表情には明らかに疲れが見えている。
「すまないな……わざわざこのような事を。」
「いえ、いいんです。今回の一件は、ある意味僕の責任でもありますから……」
猫の時とは違う、真面目な口調。
やはり、過去に何か関わっていたのか……
「……普通、上級神であろう存在が一人の人間に介入する事はないと言うが……」
「ええ。ですが、彼女にとって、僕は唯一の……親友、でしたから。」
……多くの接点を持っていた、か。
そうでなければ、ここまでする事も無かっただろう。
「では羽衣は元々人間だが、それを神族にするよう手引きしたのはもしや……」
「僕がやりました。尤も、その時が一番危険な状態でしたけどね……」
「……聞かせてもらえるか?その時の事を。」
「はい……」
「い、嫌……やめて……」
「お前が死ねば、この村は元に戻るんだ!お前を生贄にしてやる!!」
「ダメ……っ、あたしが死んだら、みんな……」
「うるさいっ!!ここで燃え死ね!!」
な、何と言う事だ……!まずい、このまま彼女を死なせると……!!
何か……何か手段は無いのか……何とかして、彼女のもう一方の面を封殺しなければ、
この村は……いや、それだけではない。他の街などにも影響されるかもしれない……!
考えている内にも、それは進行していく。何か……何か手は……っ!!
「嫌ぁぁぁぁぁっ!!」
磔にされ、そこに火が放たれた。予想以上に火の回りが速い。
くっ……どうしてこう肝心な時に新月とは……!人の姿になれないのが致命的だった。
近づけない……!こうなったら、失敗は覚悟だ……!!
術式を展開していく。彼女を救う唯一の手立て……人間としては死ぬ事にはなるが……
この際止むを得ない。責めて魂だけでも救いたい……!
「……届けっ……!」
もはや彼女の体は崩れかかって、魂を捉える事は難しかった。だが……
『……あ……』
「!!」
どうやら寸での所で間に合ったらしい。そのまま魂をこちらに引き寄せる。
まだ魔力に余裕はある。少しでも話が出来れば……
だが、その魂を引き寄せた時の気配で、時間がない事ははっきりした。
「……ここまではっきり見えるのか……!?」
『あ……れ……?』
「羽衣、少し辛いかも知れないけど……我慢して……!!」
術式の次の段階に移る。何とかして、もう一方を封印する。
予想以上の力の反発……だが、何とかそれを封じ込める。
この時点で相当な魔力を消費した。これ以上長くは、魂を固定できない……
術式最終段階。用意した一時的な『器』に、彼女の魂を封じ込めた。
これ自体も長く持たない……急いで神界に向かって、何とかして精神体化しなければ……
「待ってて……すぐに、助けるから……!!」
残っていた僅かな魔力で、門を開く。
頼む……責めて、神界に着くまでは……!
「お、珍しいな。こんな時間に帰って……ん?」
「う……ぐ……」
「おい?どうした!?しっかりしろ!!」
「お願い……この子を……助、け……」
「何がどうしたって、おい、しっかりしろ……って、これは……!?」
「どうかしまし……ああっ!?」
「急ぎ救護班を!霊管理能力の高い奴も呼んで来い!!」
「はいっ!」
「この馬鹿猫……無茶しやがって……」
「あの時は本当、どうなるかと思いましたよ。でもあのまま死なせるわけにはいかなかった……」
「それで己の魔力の限界まで……」
下手をすれば、己自身を崩壊させる程の行為だ。
そうしてでも、守りたかったのだな……
「流石に、時間が経っていましたからね……恐らく、咲耶様に出会って、過去を知った事で、
封印の崩壊が更に加速したんだと思います。」
「後に封印は崩れるのは承知の上、か。」
「ええ……この術は上書きして効果を持続させる事が出来ませんから……」
最終的に、羽衣は……死ぬ運命にあった。
人間としても、神族としても……だが。
「だが今は違う。」
「ええ。これも咲耶様のおかげです……本当に、ありがとうございます。」
「気にするな……我自身も、あの術を使った時は無理かと思ったぞ。」
「自らの魔力を変換し一時的に肉体と魂を接続させ続ける術……まさか、使えるとは。」
余りにも無理がある術だ……本来関連性が無くなる物を強制的に関連付ける。
……負担も恐ろしい物だ。
「……まぁ、いろいろあってな。さて、御主も羽衣の所に行くか?」
「そうですね……行きましょう。」
一路、羽衣が休んでいる場所へ向かう。
何とか、無事に済んだようだ……
「咲耶様……」
この村は比較的広い。
そんな村の全体に結界を張り巡らせていた猫神は、やはり上級神である。
今は人の姿になっているが、その表情には明らかに疲れが見えている。
「すまないな……わざわざこのような事を。」
「いえ、いいんです。今回の一件は、ある意味僕の責任でもありますから……」
猫の時とは違う、真面目な口調。
やはり、過去に何か関わっていたのか……
「……普通、上級神であろう存在が一人の人間に介入する事はないと言うが……」
「ええ。ですが、彼女にとって、僕は唯一の……親友、でしたから。」
……多くの接点を持っていた、か。
そうでなければ、ここまでする事も無かっただろう。
「では羽衣は元々人間だが、それを神族にするよう手引きしたのはもしや……」
「僕がやりました。尤も、その時が一番危険な状態でしたけどね……」
「……聞かせてもらえるか?その時の事を。」
「はい……」
「い、嫌……やめて……」
「お前が死ねば、この村は元に戻るんだ!お前を生贄にしてやる!!」
「ダメ……っ、あたしが死んだら、みんな……」
「うるさいっ!!ここで燃え死ね!!」
な、何と言う事だ……!まずい、このまま彼女を死なせると……!!
何か……何か手段は無いのか……何とかして、彼女のもう一方の面を封殺しなければ、
この村は……いや、それだけではない。他の街などにも影響されるかもしれない……!
考えている内にも、それは進行していく。何か……何か手は……っ!!
「嫌ぁぁぁぁぁっ!!」
磔にされ、そこに火が放たれた。予想以上に火の回りが速い。
くっ……どうしてこう肝心な時に新月とは……!人の姿になれないのが致命的だった。
近づけない……!こうなったら、失敗は覚悟だ……!!
術式を展開していく。彼女を救う唯一の手立て……人間としては死ぬ事にはなるが……
この際止むを得ない。責めて魂だけでも救いたい……!
「……届けっ……!」
もはや彼女の体は崩れかかって、魂を捉える事は難しかった。だが……
『……あ……』
「!!」
どうやら寸での所で間に合ったらしい。そのまま魂をこちらに引き寄せる。
まだ魔力に余裕はある。少しでも話が出来れば……
だが、その魂を引き寄せた時の気配で、時間がない事ははっきりした。
「……ここまではっきり見えるのか……!?」
『あ……れ……?』
「羽衣、少し辛いかも知れないけど……我慢して……!!」
術式の次の段階に移る。何とかして、もう一方を封印する。
予想以上の力の反発……だが、何とかそれを封じ込める。
この時点で相当な魔力を消費した。これ以上長くは、魂を固定できない……
術式最終段階。用意した一時的な『器』に、彼女の魂を封じ込めた。
これ自体も長く持たない……急いで神界に向かって、何とかして精神体化しなければ……
「待ってて……すぐに、助けるから……!!」
残っていた僅かな魔力で、門を開く。
頼む……責めて、神界に着くまでは……!
「お、珍しいな。こんな時間に帰って……ん?」
「う……ぐ……」
「おい?どうした!?しっかりしろ!!」
「お願い……この子を……助、け……」
「何がどうしたって、おい、しっかりしろ……って、これは……!?」
「どうかしまし……ああっ!?」
「急ぎ救護班を!霊管理能力の高い奴も呼んで来い!!」
「はいっ!」
「この馬鹿猫……無茶しやがって……」
「あの時は本当、どうなるかと思いましたよ。でもあのまま死なせるわけにはいかなかった……」
「それで己の魔力の限界まで……」
下手をすれば、己自身を崩壊させる程の行為だ。
そうしてでも、守りたかったのだな……
「流石に、時間が経っていましたからね……恐らく、咲耶様に出会って、過去を知った事で、
封印の崩壊が更に加速したんだと思います。」
「後に封印は崩れるのは承知の上、か。」
「ええ……この術は上書きして効果を持続させる事が出来ませんから……」
最終的に、羽衣は……死ぬ運命にあった。
人間としても、神族としても……だが。
「だが今は違う。」
「ええ。これも咲耶様のおかげです……本当に、ありがとうございます。」
「気にするな……我自身も、あの術を使った時は無理かと思ったぞ。」
「自らの魔力を変換し一時的に肉体と魂を接続させ続ける術……まさか、使えるとは。」
余りにも無理がある術だ……本来関連性が無くなる物を強制的に関連付ける。
……負担も恐ろしい物だ。
「……まぁ、いろいろあってな。さて、御主も羽衣の所に行くか?」
「そうですね……行きましょう。」
一路、羽衣が休んでいる場所へ向かう。
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