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それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
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「……久しいな。」

目の前に広がる空間は、我にとって懐かしい物だった。
一面に並ぶ桜の木、そしてその先に見える一際大きな桜……
ああ、久しぶりの故郷だ……
と、後ろから幽羅が、続いて雪乃と羽衣が降り立った。

「凄い……ここも、こんなに……」
「何度来ても、ここは綺麗ですよね……」
「そうだよねぇ……」
「まぁ、我にとっては見慣れた光景だがな。さて、次は第二大陸への門を開かなければ。」

門を開くのは我も出来るのだが、何より魔力の消費が激しくなる。
こういう事はあの者に任せるのが一番だ。

「余り時間はないが、少しだけこの空間にいよう。少々我も準備したい事もあるからな。」
「わかりました。」
「は~い!」
「………」

羽衣だけ返事がない。遠くにある大きな桜を見ている。

「……羽衣、あまりぼーっとするな?」
「……はっ!?」
「全く……行くぞ。」
「は、はいっ!」

少し引っかかりながらも先へと進む。
肉体を持った状態だと、進む事が出来る箇所は大幅に限られる。
それはそれだけ我々にとって神聖な場所という事。
例外として、神族や魔族の上位の存在であれば立ち入る事が許される場所もあるが……

「あれ……?さ、咲耶様!?」

たまたま通りかかったのは、世話役の一人、天音だった。
桜木の空間の正装である華やかな着物を着ている。
……少し成長したか。より一層似合うようになっている。

「天音!久しぶりだな。元気にしているか?」
「は、はい!」
「ふふっ、それはよかった。会って早々悪いのだが、結衣香は何処にいる?」
「えっと……今は空間の門で検査を。」

空間の門……世界と空間を繋ぐ門を開くための場所。
もしそこにいるのなら、話が早い。

「そうか、都合がいいな……」
「大陸移動ですか?やはり、ここ最近の……」
「そういう事だ。さて、では向かうとしようか。」

あやつを探す手間が省けたのは幸いだった。
これでもう少しこの空間にいる事が出来そうだ……



「咲耶様!ああっ、おかえりなさい!」
「ただいま、結衣香。話は聞いているな?」
「はい。神界の使者の方から事情は聞きました。何時でも開けますよ!」

もう一人の世話役、結衣香。空間と空間を繋ぐ能力に長けている。
肉体を持つ以前からも、結衣香には助けられている。
……こちらはあまり成長した感じがしないが気のせいか?
どうやら話は先に伝わっていたようで、既に準備をしていた。

「うむ、わかった。少々準備もする、後でまた声をかけよう。」
「了解ですっ!」

後は各々の準備だけだ。移動する前に……立ち寄っていくか。

「さて、少し我は準備をしてくる。それと羽衣。」
「あ、はい。」
「御主に桜木の空間を少し案内しよう。神界とはまた違った世界だぞ。」
「あ……ありがとうございます!」
「さて、それでは行くとしようか。」

久しぶりに降り立った地を、少しずつ楽しみながらあの場所へと向かう。
羽衣に説明する時には、自分がここで何をしたかも思い出しながら教えていた。
……この地を離れてから、随分と時間が経ったんだな……



「すまないが、ここで少し待っていてくれないか?」
「はい。あ、でも……ちょっとその辺りを歩いててもいいですか?」
「構わない。だが迷うなよ?」

この空間はそれなりの広さがある。下手に動くと迷子になる……そんな来客が少しいた。
まぁ、羽衣なら大丈夫だろう。

「……僕はそこまで子供じゃないですよ~。」
「ふふっ、そうだな。」

我は一人、とある場所へと向かった。
それは我にとって最も重要な場所であり、そして最も神聖な場所……
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