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それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
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エリアスからアオイチまでは、各所に設置されている転移装置を使う。
どう見ても今この時代の技術力では作れそうもない代物だが……まぁそれは気にせず。
問題はここからだ。桜木の空間に繋がる門……それがどういう形なのか。
まぁあの場所に開けるとしたら、一番簡単な構造の物と考えるべきか。
……と、考えている内に現地に到着した。

「うわぁ……夏なのに桜が……」
「この地は少し特殊でな。具現化した桜木の霊達がいるおかげで桜が枯れないのだ。」
「そうなんですか……でも、凄く綺麗ですね……」
「ああ……」

美しく艶やかに咲く桜。羽衣が見惚れてしまうのもわかる。
桜木の湖の枯れぬ桜。まるで我の故郷のように……だが。

「だが、油断すれば危険でもある。」
「え?」
「桜木の霊は全てがよい存在ではない。中には人間を誘い込み肉体ごと糧にしてしまう者もいる。」
「そ、それって……」

……そうした奴を何度か見かけた事があるが、我が手出しする事は出来ない。
度が過ぎない限りは、それもまた自然の一部という事だ。

「だが我らを襲う愚か者はいないだろう。良き霊にとっても悪き霊にとっても我という存在は大きい。」
「……怖いんですね、本当は。」

人間だけではなく他の生物も虜にする存在もいる。
華やかな裏には闇もある。我は……それを見る使命がある。

「あ、咲耶ちゃん、あれってもしかして……」
「む?……ふむ、誘導灯か。」

少し前方に青白い光が灯っている。我が近づくと距離を離す。

「どうやらこれが門へと導くようだな……行くぞ。」

誘導灯に導かれて進むと湖に出た。
光は水辺近くのとある場所を指していた。

「なるほど……あそこに飛び込めという事か。」
「お昼なのに月が……どうなっているんですか?」

雪乃が言う通り、光の下の部分だけが暗く、そして満月が映っている。
……我からしてみれば、随分と古風な手段だと思うが。

「一種の道しるべのような物だ。あの場所に門が開かれていて、空間を飛ぶ事が出来るのだ。」
「そうなんですか……今までは大体陸地に門が開いてましたけど……」
「わざわざこんな手段をとるとはな。まぁいい、飛び込むぞ。」
「え?でも濡れるんじゃないですか……?」

と、少し派手な衣装の羽衣が言う。
……濡れたら重そうだな、羽衣の格好は。

「飛び込むと同時に転移が起こる。濡れる前には向こうに転移するから心配は要らない。」
「う、うーん……」
「時間はあまりないのだ。さぁ行くぞ!」

ここは我が見本を見せるべきだな。一思いに我は地面を蹴った。
そして足が水に着いた途端、身体が宙に浮く感覚、同時に意識が一時的に消える……
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