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それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
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一人、テラスから夜空を見上げる。
漆黒の海に輝く光。遠く手の届かない奇跡の光。

「ふぅ……」
「珍しいわね。貴方がこうしているなんて。」
「……お互い様だろう。」

いつの間にか背後にはエアリナがいた。
こうして何もない時に現れるのは珍しい事だ。

「特に何かあったわけではなさそうだな。」
「ええ……あたしにだって、考えに耽りたい時もあるのよ?」
「……そうだな。」
「……貴方もそう?」
「似たような物だ……」

ここは夜空の星と月が一番よく見える場所だ。
この空を見ると、不思議と心が安らぐ。

「あの子の事、やっぱり心配?」
「ああ……」
「……あの子、結構重いものを背負ってるわ。恐らく、本人は気づいていないでしょうけども。」
「そうだろうな。あれ程の邪気、長い間傍にいれば狂ってしまいそうだ……」

あの時は一瞬だけだったから良かったものの、あれが長く続けば……
我とて、無事ではいられないだろう。

「……貴方も何か変な物が目覚めないといいんだけど。」
「どういう意味だ?」
「そのままよ。」

……我が目覚める、か……
確かに、今の我は昔とは違う。今、あの狂った時代の我に戻ったらどうなるのだろうか。
……確実に、雪乃や幽羅、羽衣とは共に存在できなくなる。
だが……それは昔の事だ。今は違う。

「……すまない、一人にさせてくれないか?」
「いいわ。あたしもそう長く持たなさそうだし、そろそろ覚悟しないと。」
「……そう、か……」

エアリナには迫っているのだ。精霊としての「死」が。
そして、それはいずれ我にも訪れる……

「咲耶。」
「何だ?」
「あたしの事はあまり気にしない事。これは必ず起こる事なんだから。貴方だって例外じゃないわ。」
「……わかっているさ……」

……避けられぬとは分かっているが……エアリナは状況が特殊すぎる。
果たして、無事に終わらせられるのか……

「……考えすぎはよくないわよ。じゃあね。」
「ああ……」

……エアリナの事も心配だが、我自身も……
今の我は、もう過去の我ではない……
だが、戦いに出るたびに感じるあの喜びは……
我も結局は、狂った道の上にいるのだろうか……?

「……お前は、我に何をさせようとしているのだ?アルフォード……」

夜空に問いかけた所で何も戻ってはこない。
……もう寝よう。今はこれ以上考えても無意味だ。
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