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それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
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それは夢、脆い夢。
変える事の出来ない現実、逃げ出したくなる現実。

「……どうして、僕が……?」

その答えを知る手段は無い。存在するはずがない。
知ろうとすれば身を滅ぼす。自分という存在を滅ぼす。

「……誰か……助けて……!」

もう戻れない。逃げられない。
でも、自分でも抑える事は出来ない。

「嫌……嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」



「……っ!?」

急に目が覚めた。心臓は早く動いている。
……あれ?僕は何を見てこんな……

「うっ……つつ……」

少し頭が痛い。多分、昨日あれを見たからだと思う。
僕の名前……前の……多分、思い出してはいけない事。

「……ふぅ……落ち着け~、落ち着け~……」

ううん、でも、きっと大丈夫。今は咲耶様や、雪乃さん、幽羅さんがいる。
きっと、あの人達なら……

「よし、大丈夫……」

落ち着いて、ゆっくりとベッドから降りる。
そういえば、僕は咲耶様のベッドで寝てたんだっけか。

「ちゃんとお礼を言わないと……」

こうしてちゃんとした所で寝るのは久しぶりなような気がする。
咲耶様に、ちゃんとお礼を言わないと!



「……ふぅ。」

気のせいか、ここ最近気配の流れに狂いが生じてきている。
我の魔力に異常でもあるのかと思ったが、そうではなかった。
……恐らく、原因は羽衣。二面性、とでも仮定しよう……
しかし、よくもまぁあんな複雑な行為を行ったものだ。
今度神界に行った時に誰がやったか、奴に問い詰めてみるか。

「おっはよ~咲耶ちゃん!」
「おはようございます、咲耶様。」
「ん、二人ともおはよう。」

幽羅と羽衣の二人がリビングに来た。……今は落ち着いているようだな。

「ご飯の準備なら、もう出来てますよ。」
「それでは、今日は四人で食事だな。」
「え?いいんですか?」
「今更何を言うか。それと、今日中にお主の部屋も用意しておこう。
 ここにいれば、何かと融通も利くだろう。それに、何かあった時に我々を頼ればいい。」

このまま羽衣を一人にさせておくのは何かと不安だ。
何しろ、今の段階で羽衣を一人にさせるのは少し危険な気がする。

「でも、いいんですか?」
「何、構わないさ。二人とも、いいだろう?」
「ええ、構いません。家族が増えて嬉しいですよ。」
「うん、いいよ~!羽衣ちゃんがいるともっと楽しくなると思うよ!」

家族、か……こうして過ごすだけで、変わるものだな……

「ああ……ありがとうございます!このご恩はいつか必ず……!」
「いや、気にする事はないさ。さぁ、食事にしようか?」

賑やかな朝食。多くの笑顔があった。
……そうだな。今は余り考えずに、この時間を過ごす事にしよう。
少しでも長く、この平穏が続く事を願いつつ……
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