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それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
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「う……んん……」
「羽衣!大丈夫かい!?」
「あ……猫神様……」

目が覚めると、僕は布団の中にいた。
それに家の天井と、ほっとしたような表情をした猫神様が見えた。

「ここは……痛っ!?」

起き上ろうとした時に、体中に鈍い傷みが響いた。

「今はあまり動かないで。まだ体に何かしら影響が残っているみたいだから……」
「はい……」

もう一度横になって、少し周りを見渡してみる。
ここは誰の家なんだろう?それに、神王様が見当たらない。

「ここは墓地の近くの小屋だよ。ちゃんと掃除されているあたり、今でも使われているみたい。」
「……僕は、墓地で倒れて、それで……」
「この小屋に運ばれた。それと神王殿は今、あの墓地に関する話を村に聞きに行ってるよ。」

神王様が聞き込みに……本当は僕自身がやるべき事なんだろうけど……
それにしても、起きようとしただけであれだけ体が痛むのはどうして……?

「そうだ、羽衣……酷くうなされていたようだけど……何か、悪い夢でも見たのかい?」
「夢……あれは……」

あの僕が見せた、あれは本当に夢?
多くの子供の、あの声と姿は、ただの夢で済まされるの?

「あれは……夢じゃない。」
「え……?」
「僕が……あの僕が見せたのは……」

思い浮かぶ、あの光景。
虐げられて、燃やされる。熱さが痛みになって、でも、すぐに何も感じなくなって……

「……聞かせてくれるかな。何を見たのか……」

猫神様に、僕が見た事を伝えていく。
あの僕の言葉、子供達、それに……生贄と、怨み。
猫神様は、子供達の事に付いてが気になっているようだった。

「子供達の怨念に、生贄……いや、まさか……」
「恐らく、君が考えているそのまさか、が現実にあるのは間違い無いだろうね。」
「にゃっ!?」
「あっ、神王様。」

後ろから急に話しかけられたせいで、猫神様の口調が人の姿なのに猫に戻った。
……なんだろう、これはこれで……ってそんな事を考えてる場合じゃない。

「し、神王殿か……脅かさないでくださいよ。」
「いや、そこまで驚くとは思ってなかったけど……まぁそれは置いといて。」
「ええ……僕が考えているまさかが現実にある、と。」
「そう。この村で生贄として犠牲になったのが羽衣さんだけじゃないのは確実で、
 しかも犠牲になっているのは決まって子供なんだ。」

子供が犠牲になっている……じゃあ、僕が見たあの子供達は、生贄として殺された……

「それで、最後に生贄として殺されたのが……羽衣さん。」

あの僕が言っていた事と同じ。僕は、一番最後の生贄だった。
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