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それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
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視界が戻ると、村から少しだけ離れた所に立っていた。
村の様子は、前に来たよりもなんだか明るい気がした。
やっぱり、あの時の僕の影響が大きかったのかな……

「ここが……」
「はい……僕が、人間だった頃に住んでいた村です。」
「静かで良い所だね。」

……今はそう見える。でも、前はそうじゃなかった。
あの時の僕は、間違い無く……ここの村人を殺した。

「はい……でも、僕は……」
「……聞かせてもらっても良いかな。君の過去と、この村で起こった事を。」
「……分かりました。」

僕がここで何をしたか。僕の身に何が起こったのか。
過去と今、起こった事、起こっている事を神王様に伝えた。
神王様の表情は、ずっと曇っていた。

「そうか……だから、今……」
「きっとここに来れば、どうして僕の目が元に戻ったのか……それが分かる気がするんです。」
「……これは私の推測だけども、その生贄を捧げる習慣が今回の事に何かしら関与していると思う。」

ある年になったら、子供を生贄に捧げる。それがこの村で行われていた事。
そして僕は、その生贄となった……
結果として僕は人間として死んで、猫神様の手で神族に生まれ変わったけれども……

「この地を長く見ている者……彼からも、話を聞く必要があるね。」
「猫神様ですね……でも、今は何処にいるんだろう?」
「お呼びですかにゃ?」
「きゃっ!?」

不意に足元から声が聞こえて驚いた。この声は……

「お久しぶりだにゃ、神王殿、羽衣。」
「久しぶり、元気にしてた?」
「あっ……お久しぶりです!」

間違い無く、猫神様だった。突然現れたからびっくりしたけど……
足元から離れた猫神様は、ぽんっ、と言う音と煙と一緒に人の姿になった。

「僕はそれなりに。それで、羽衣……その目は……」
「……突然、こうなって……それで、多分あの子が関わってるんじゃないかって。」
「……まだ全部終わって無かった、という事かな。」
「そう……なのかもしれません。」

もう二度と出てくる事もない……そう思っていた。
けど、今になってどうして……

「羽衣さんの事は君が一番よく知っていると思うし、私はサポートに回ろうかな。」
「そうして貰えるとありがたいです。羽衣のためにも……」
「……ありがとうございます。」

何が起こるか分からない。けど、神王様と猫神様が一緒なら、きっと……

「さて、立ち話もあれだから、村に行こうか。」

猫神様の提案で、村に入る事になった。
村の人達は、今どんな感じなんだろう……
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