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それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
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エアリナ様の記憶。今までに歩いてきた道。
きっと、エアリナ様はどの大精霊様よりも苦しかったんだと思う。
途中で本来の身体を失って、私の身体を借りた。
エアリナ様が言うまで、私はそれに気づかなかった。でも、その方が良かったのかもしれない。
もし、前からその事実を知っていたなら、私は耐えられなかったと思う。
大精霊としての重圧。それを、大精霊でも何でもない、私が感じる。
……そうだったら、今の私は居ない、そう思う。この方が、私にとって良かったのかもしれない……
でも、一番なのはやっぱり、エアリナ様自身が、自分の身でちゃんと引継ぎをする事。
完全な形では出来なかったけれど……でも、こうして引継ぎを終えようとしている。
エアリナ様の意思……私に、託した事。大精霊として、一個人として、私にお願いした事。
絶対に、忘れちゃいけない……大切な事。



あたしは、それを……



そろそろ、動くべきか……これから忙しくなりそうだ。
しかし、この状態のままでは上手く身動きが取れん……
こうなったら仕方ない……奴には悪いが、一旦肉体を排除させてもらおうか……

「……天音、少々手伝って欲しい事がある。」
「あ、はい。何でしょうか?」
「一旦、肉体との関連性を完全に切り離す。忙しくなりそうだからな。」

今は一時的に肉体から精神を切り離しているだけであり、厳密にはまだ関連性は残っている。
この関連性を正しい手順で完全に切り離すと、その肉体は消滅する。
……どういう仕組みかは知らないがな。まぁ、残ったままと言うのは気分が悪い。

「分かりました。それでは……」
「うむ。」

目を閉じ、気を静める。そして、肉体に繋がる見えない糸を切り離す。
天音はその補助に入る。関連性を外した際に、衝撃が来る可能性があると聞いた。
それを複数に分散させる事によってその衝撃を和らげる……と言う、手段だ。
軽い衝撃……直後、そこにあった肉体は光の粒子となって消えていった。

「よし……助かったぞ、天音。衝撃は大丈夫だったか?」
「はい、大丈夫です。あの、私が御供になりますか?」
「ああ、頼む。結衣香には伝言を伝えに行かせねばな……」

暫く館には戻れない。雪乃と羽衣には悪いが……だが、あの二人であれば大丈夫だろう。
なるべく早く戻りたい所ではあるがな……

「さぁ、行くぞ。」
「はい!」

久しぶりに、この姿のままで移動する……本来ならば、これが普通なのだが……
慣れと言うのは恐ろしいものだ。



「咲耶様!移動の準備は出来ていますよ!」
「助かるぞ、結衣香。」

結衣香は気配を察し、予め移動のための準備をしていてくれた。
おかげですぐに風の空間へと移動出来る。心遣いに感謝だ。

「それと、雪乃と羽衣に連絡を頼みたいのだが、出来るか?」
「分かりました!すぐにお伝えしますね!」
「頼んだぞ。」

我と天音は門をくぐる。風の聖域、幽羅の待つ元へ。
無事に……終わっただろうか……
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