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それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
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「…さ………咲……ま………」
「ん、んん……」
「咲耶様、起きて下さい!神王様がお呼びですよ!」
「……ああ、そうだったな……」

深い眠りから呼び起こされた。
神王直々の呼び出し。我に、何の用があるというのだ?
現に、今も状況がいいとはいえない。

「すぐに向かう。門は開けるか?」
「はい、直ぐに。」
「頼む。」

神界への門は我の力でも開く事が出来るが、消耗が激しい。
こういう事は、こやつの専門だ。

「……開きます!お気をつけて!」
「ああ。」

開かれた神界への門。足取りは重かった……



「珍しいね?咲耶ちゃんが昔の夢を見るなんて。」
「ああ……前にも何度かあったが、ここまで鮮明なのは初めてだ……」

羽衣に会ったその夜、我は夢を見た。
あれは、間違いなくあの頃の……まだ若い頃だったな。
……懐かしい物だ。

「精霊でも、肉体を持てば夢を見るのですね。」
「うむ。精霊体のままでは、夢というよりはただ漠然と記憶を辿るような、その程度でしかない。」
「私も、体を持ってからはちょっとだけ夢を見たよ。咲耶ちゃんみたいにはっきりとはしてないけど……」

神族に会ったせいなのかは判らないが、妙に鮮明だった。

「ねぇねぇ、それはそうとして……咲耶ちゃん、まだ仕事は取ってないよね?」
「ああ、ここ最近は働き詰めだったから、暫くは休みを取る事にするよ。」
「それなら……海に行こうよ!」
「海、か……悪くないな。」

そう、今は夏。館があるこの場所はそれ程でもないが、実際昨日の街の中は暑かった。
度々、海を見た事はあったが……肉体を持って実際に入った事はない。

「雪乃、大丈夫か?暑い所は苦手だろう?」
「いえいえ、大丈夫ですよ。ただちょっと、それなりの準備も欲しいですが……」

雪乃の体質上、暑い所は苦手だが……準備さえすれば大丈夫なのは、人である部分故か。

「パラソルとか用意したほうがいいよね?」
「ええ、そうですね……お願いしてもいいでしょうか?」
「うむ、わかった。それでは、休みの内に気が向いた時にでも行くとしよう。」
「やった~!海だ海だ~!」
「ふふっ……」

やはり、休日は楽しまなくては。
実際の所……海に関しては、我も楽しみだ。
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