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それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
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門を抜けた先……久しぶりだなぁ。
最後にここに来たのは、かなり前だった気がする。
風と森の空間、私の生まれた場所で、住んでいた場所。
とっても綺麗で、静かな場所……私が大好きな空間。

『……聞こえるかしら?』
「ふぇっ!?」
『そんな素っ頓狂な声出さなくても……』

突然、大精霊様の声が聞こえた。まるで、頭に直接響くような……
というか、周りに誰もいなくてよかった……凄い変な声だったし。

『やっぱり、ここに居る間は安定するようね……
 この調子で、引継ぎも上手く行ってくれるといいのだけれど。』
「あの……どうして、大精霊様は私の……えっと、私の中に……?」
『そうね……その事を含めて、それは然るべき場所で話すわ。そう、聖域でね。』
「聖域……!?」

精霊達が集まる場所に、かならずある神聖な場所……それが、聖域。
咲耶ちゃんのような、大精霊とその身近な人しか入れない所……
そこに、私が……?でも……それしか、考えられないかな。

『……場所は、分かってるわよね?』
「はい……」
『なら急いで。余り時間が掛かると、手遅れになるわ。それは貴方にも分かっているでしょう?』
「……はいっ!」

急がなきゃ。聖域に……無事に済ませて、帰らないと。
場所は、あの広場からもう少し先、森の中にある。
私も何度か入り口近くまで行った事がある。
何か、あそこにはある……精霊達の力の元になる、何かが。

「うん……!」

私は一番の速さで飛んだ。
空に上がって、まずは広場へ。

「あれ?お~い!幽羅ちゃ~ん!」
「あっ!ご、ごめん!話は後で~!」
「きゃっ!?……どうしたのかしら、あんなに急いで……」

途中、友達が話しかけてくれたけど、ちょっと返事をするだけにした。
もう少し先……地面に降りて、今度は走った。
細い道……だんだん暗くなってくる。

「あっ……」

着いた……ここが、聖域の入り口。
緑色の魔方陣で、封印されている。これをどうにかできるのは、その空間の大精霊様だけ。

『着いたわね……封印の前に立って。』
「わ、分かりました。」

封印の目の前に立つ。でも、どうやってこれを……?

『貴方の体を少し借りるわよ。封印に手をかざして。』

そっと、封印に触れてみる。冷たい……

『意識を封印に向けて。少し衝撃が来るかもしれないけど、我慢してね。』

封印だけ見る。隙間から、奥が少しだけ見えた。

「……開け。」

口が勝手に動いた。それと一緒に、封印も静かに消えて行った。

「……あっ。」
『ふぅ……無事成功ね。大丈夫だった?』
「は、はい。」
『それじゃ、奥に行きましょうか……そんなに緊張しなくて大丈夫よ。気分を楽に、ね?』

大精霊様が優しく言ってくれた。ちょっと、楽になった。
ゆっくりと、歩いて奥に進んでいく。だんだん、寒くなってきた。
向かい風が吹いてる。まるで、入れさせてくれないように……
でも、歩いた。奥にある、聖域に……
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