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それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
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……また、霧の中。
ここは何処なんだろう?来た事があるような場所……

「……お願い……早、く……」
「あっ……!」

はっきり聞こえた……誰の声なの……?
でも、この声……何処かで聞いた事があるかも……
少し、霧が晴れてきた……なんとなく、見えてきた……

「ここって……もしかして……」

ちょっとしか見えなかったけど……そう、ここは……私の……



「幽羅!」
「あ……咲耶ちゃん……」

幽羅が目を覚ました。表情は硬い。

「よかった……心配したぞ。大丈夫か?」
「うん……大丈夫。」

館の一室を借りて、幽羅をベッド寝かせておいた。
かなり消耗が激しい……無理もない、あんな大魔法を使ったんだ。
体への負担も相当なものだろう……

「あ、目が覚めたのね。よかったわ~……何か凄い音がすると思って入ったらこれだもの……」
「……すまないな。」
「いいのよ。おかげで厄介な奴もいなくなったし、これぐらいなら良くある事だわ。」
「……よ、良くある事なんですか……」

羽衣が言うのも無理はない……良くある事なのか?
だが、そんな事はどうでもいい。何しろ……

「幽羅……」
「また……見たんだ。今度は、もっとはっきりしてた……声も、聞こえた……」
「そうか……」

幽羅の体を媒体にして、無理に術を発動させた。
あの強さの魔法は、そう多くの者が使える代物ではないのだ。
幽羅も、精霊の中では上位の存在とされてはいるが、まだ力が足りない所もある。
それなのに、あやつは……

「まぁ……あれね。暫くはここで休んで大丈夫だから。後の事は、私たちで何とかするわ。」
「助かる。ああ、それと……」
「何かしら?」
「後で、どうしてこうなったか聞かせて欲しい。少々、理解しかねる部分もあるからな。」
「わかったわ。」

幽羅も心配なのだが……それと同じく、何故ここにあのような魔物が住み着いたのか、
その理由がよく分からないのだ。一体、何を目的としていたのか……

「すまない、雪乃と羽衣は幽羅の様子を見ていてくれないか?」
「咲耶様はどちらに?」
「あの部屋の様子を見てくる。少々、気になってな。」

何か、手がかりがあるかもしれない。
もう一度、あの部屋へ行って見る事にした。



「……はぁ。」
「幽羅様……大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫。」

……あの声。やっぱり何処かで聞いた事がある気がする。
でも、誰だったっけ……もう、随分前の事なのかなぁ。

「でも、あの時の幽羅さん……まるで、別人みたいでしたよ。」
「そうでしたね……」
「え?何が?」
「あれ?覚えてないんですか?」

羽衣ちゃん……それに雪乃ちゃんも……
何の事なんだろう?もしかして、私が気を失ってる時に、何かあったのかな?
後で聞いてみよう……
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