それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
「羽衣の様子はどうだ?」
「あ、咲耶様。今はゆっくり眠ってますよ。」
「そうか……では、目覚めてから話を聞くとしよう。」
ゆっくりと休んで、余裕が出来たら話を聞こう。
無理をさせる必要は何処にもない……
そして数時間後……
羽衣が目覚め、体調を確認した後、話を聞く事になった。
羽衣の過去に一体何があったのか?それを知るために。
立ち会ったのは我らと猫神、そしてその当時の事を知っている村の人間。
「あの僕と一緒になった事で、記憶がはっきりしたんです。
まるで、あの子に記憶の一部が封印されていたような……」
「……恐らくは、僕があの時そのもう一方を封印した影響だと思う。
その方に、恐らく負の記憶が集約されていて思い出せなかったんだ。」
記憶ごと封印させていた……それだけに、何も分からなかったのだろう。
だが……もしもあのまま気づかぬままであれば……
「はい……多分、そうだと思います。」
「……では、事の発端を聞かせてもらおう。羽衣の両親が亡くなったあたりから、だな。」
「はい……」
そして、羽衣は過去に起こった事をゆっくりと話し始めた……
信じられなかった。あたしは一人ぼっちになっていた。
大切な人。それが、一度に。
泣いた。もうどれぐらい泣いたかわからないぐらい。
あたしの傍にずっといてくれた人が。
あたしは、これからどうすればいいの?ねぇ、どうすればいいの……?
どうしてあたしがこんな目に遭ってるんだろう?
あたしは何もしていないのに……お父さん、お母さん……ねぇ、どうして?
「けっ、餓鬼一人の為に何で俺がどうこうしてやんなきゃいけねぇんだよ?」
「仕方ねーっての。奴が死んじまったらどうなるかわからねぇ。今でもやばいってのに……」
「んだよ……んなもん殺しちまえばいいだけの話じゃねぇか。」
「だから死んだらダメなんだよ!死なない程度に痛めつけてやるんだ。いいな?」
「へいへい……」
また、外でそんな声が聞こえる。多分わざとだと思う。
またあたしに……あんな事を……
「にゃ~……」
「あ……来てくれたんだね……?」
傷のついた手を舐めてくれる。また、虐められて……
それでも、この子は何時もあたしの所に来てくれる。
「大丈夫だよ……あたしは……大丈夫だよ……」
ボロボロになった手で撫でてあげる。とっても気持ちよさそうな顔をしてる。
この子は幸せなんだ……なのに、あたしは……
「貴方は……貴方だけでも、幸せに生きて……」
あたしの手は震えていた。泣いていた。
もう、あたしは……これ以上……
「な、何するのっ!?」
腕をいきなり掴まれて、無理矢理引っ張られる。
「もうこれ以上お前を生かしちゃいられねぇ!!俺がこの手で殺してやる!!」
「や、やめてよっ!!」
反対の腕で、そいつの顔面を殴ってやった。
同時に掴まれていた腕が離れる。
そして大急ぎで逃げ出した。
「ぐあっ!?こ、こいつ……!?待ちやがれ!!」
「はぁっ……はぁっ……」
どれだけ走ったんだろう。気がつけば森の中。
真っ暗で……怖い……
「見つけた!!今度は逃がさねぇっ!!」
「嘘……うっ!?」
その場に倒れる。腕に力が入らない。
後ろを見ると、他にもたくさん人がいた。
「い、嫌……やめて……」
「お前が死ねば、この村は元に戻るんだ!お前を生贄にしてやる!!」
「ダメ……っ、あたしが死んだら、みんな……」
「うるさいっ!!ここで燃え死ね!!」
いつの間にか、腕や足は縄で縛られていた。
そしてそのまま一本の木に……変な臭いがする……嘘、これって……油!?
「嘘……嫌だ……死にたくない……!!」
木は立てられた。下にいた人が、火をつけていた。あっという間に火はあたしの所まで。
「そんな……そんなっ……嫌ぁぁぁぁぁっ!!」
熱い、熱いよ……誰か…だれ、か…たす………け……
「……そういう事か……」
その場に重い空気が漂っていた。
人間として死に、そして神族として生まれ変わった羽衣。
だが、その影響は予想以上だった……そして、今。
「封印が解き放たれた事により、この村で再び被害が起こった。そして、根本の原因は……」
「虐待……ですね。」
「羽衣ちゃん……」
「あの子は……とんでもない事をしてしまった。僕はあの子の罪を、一緒に償っていく……」
羽衣の瞳には、今までとは違う、力が宿っていた。
この重い空気さえも変えてしまいそうな、力強さ。
「過去を変える事は出来ない……なら、これから少しずつ、いい方向に変えていかなきゃ。」
「そうだ。羽衣、御主は一人ではない。我や、雪乃や、幽羅がいる。」
羽衣はもう、一人ではない。我々がいるのだ。
「みんなで一緒に頑張ろうよ!」
「ええ……羽衣様、貴方ならきっと出来ますよ。」
「ありがとうございます……!」
決着。
出会ってから殆ど時間は経っていなかったが……こんなにも早く。
だが、これで我が気になっていた事項の一つが消えた。
これから先、我らで羽衣を支えていく必要がある。
我らの為にも、そして何よりも、羽衣自身の為にも……
その後、村人達に事を一通り説明した我々は、帰還の準備をしていた。
事後処理は猫神がきっちり行うと言う事で、そのあたりは任せた。
そして……
「御主達は、過去の過ちを反省し、それを未来に生かしてほしい。」
「はい……本当に、ありがとうございました!」
「咲耶様、後はお任せくださいですにゃ。」
「うむ。では、帰るとしようか。」
まだやらねばならぬ事は多く残っている。
我らの力で、それを解決しなくては。
次の依頼を受けるため、一路、我が家へと向かう……
「あ、咲耶様。今はゆっくり眠ってますよ。」
「そうか……では、目覚めてから話を聞くとしよう。」
ゆっくりと休んで、余裕が出来たら話を聞こう。
無理をさせる必要は何処にもない……
そして数時間後……
羽衣が目覚め、体調を確認した後、話を聞く事になった。
羽衣の過去に一体何があったのか?それを知るために。
立ち会ったのは我らと猫神、そしてその当時の事を知っている村の人間。
「あの僕と一緒になった事で、記憶がはっきりしたんです。
まるで、あの子に記憶の一部が封印されていたような……」
「……恐らくは、僕があの時そのもう一方を封印した影響だと思う。
その方に、恐らく負の記憶が集約されていて思い出せなかったんだ。」
記憶ごと封印させていた……それだけに、何も分からなかったのだろう。
だが……もしもあのまま気づかぬままであれば……
「はい……多分、そうだと思います。」
「……では、事の発端を聞かせてもらおう。羽衣の両親が亡くなったあたりから、だな。」
「はい……」
そして、羽衣は過去に起こった事をゆっくりと話し始めた……
信じられなかった。あたしは一人ぼっちになっていた。
大切な人。それが、一度に。
泣いた。もうどれぐらい泣いたかわからないぐらい。
あたしの傍にずっといてくれた人が。
あたしは、これからどうすればいいの?ねぇ、どうすればいいの……?
どうしてあたしがこんな目に遭ってるんだろう?
あたしは何もしていないのに……お父さん、お母さん……ねぇ、どうして?
「けっ、餓鬼一人の為に何で俺がどうこうしてやんなきゃいけねぇんだよ?」
「仕方ねーっての。奴が死んじまったらどうなるかわからねぇ。今でもやばいってのに……」
「んだよ……んなもん殺しちまえばいいだけの話じゃねぇか。」
「だから死んだらダメなんだよ!死なない程度に痛めつけてやるんだ。いいな?」
「へいへい……」
また、外でそんな声が聞こえる。多分わざとだと思う。
またあたしに……あんな事を……
「にゃ~……」
「あ……来てくれたんだね……?」
傷のついた手を舐めてくれる。また、虐められて……
それでも、この子は何時もあたしの所に来てくれる。
「大丈夫だよ……あたしは……大丈夫だよ……」
ボロボロになった手で撫でてあげる。とっても気持ちよさそうな顔をしてる。
この子は幸せなんだ……なのに、あたしは……
「貴方は……貴方だけでも、幸せに生きて……」
あたしの手は震えていた。泣いていた。
もう、あたしは……これ以上……
「な、何するのっ!?」
腕をいきなり掴まれて、無理矢理引っ張られる。
「もうこれ以上お前を生かしちゃいられねぇ!!俺がこの手で殺してやる!!」
「や、やめてよっ!!」
反対の腕で、そいつの顔面を殴ってやった。
同時に掴まれていた腕が離れる。
そして大急ぎで逃げ出した。
「ぐあっ!?こ、こいつ……!?待ちやがれ!!」
「はぁっ……はぁっ……」
どれだけ走ったんだろう。気がつけば森の中。
真っ暗で……怖い……
「見つけた!!今度は逃がさねぇっ!!」
「嘘……うっ!?」
その場に倒れる。腕に力が入らない。
後ろを見ると、他にもたくさん人がいた。
「い、嫌……やめて……」
「お前が死ねば、この村は元に戻るんだ!お前を生贄にしてやる!!」
「ダメ……っ、あたしが死んだら、みんな……」
「うるさいっ!!ここで燃え死ね!!」
いつの間にか、腕や足は縄で縛られていた。
そしてそのまま一本の木に……変な臭いがする……嘘、これって……油!?
「嘘……嫌だ……死にたくない……!!」
木は立てられた。下にいた人が、火をつけていた。あっという間に火はあたしの所まで。
「そんな……そんなっ……嫌ぁぁぁぁぁっ!!」
熱い、熱いよ……誰か…だれ、か…たす………け……
「……そういう事か……」
その場に重い空気が漂っていた。
人間として死に、そして神族として生まれ変わった羽衣。
だが、その影響は予想以上だった……そして、今。
「封印が解き放たれた事により、この村で再び被害が起こった。そして、根本の原因は……」
「虐待……ですね。」
「羽衣ちゃん……」
「あの子は……とんでもない事をしてしまった。僕はあの子の罪を、一緒に償っていく……」
羽衣の瞳には、今までとは違う、力が宿っていた。
この重い空気さえも変えてしまいそうな、力強さ。
「過去を変える事は出来ない……なら、これから少しずつ、いい方向に変えていかなきゃ。」
「そうだ。羽衣、御主は一人ではない。我や、雪乃や、幽羅がいる。」
羽衣はもう、一人ではない。我々がいるのだ。
「みんなで一緒に頑張ろうよ!」
「ええ……羽衣様、貴方ならきっと出来ますよ。」
「ありがとうございます……!」
決着。
出会ってから殆ど時間は経っていなかったが……こんなにも早く。
だが、これで我が気になっていた事項の一つが消えた。
これから先、我らで羽衣を支えていく必要がある。
我らの為にも、そして何よりも、羽衣自身の為にも……
その後、村人達に事を一通り説明した我々は、帰還の準備をしていた。
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そして……
「御主達は、過去の過ちを反省し、それを未来に生かしてほしい。」
「はい……本当に、ありがとうございました!」
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