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それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
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翌日……目覚めたのは朝早くだった。
独特の気配。……どうやら、何か問題があったようだな。

「エアリナか。」
「あら、気づかれちゃった?」
「……我が気づかぬとでも思ったか?」
「まぁ、それはそうよねぇ。」

姿、声は幽羅。だが、人格は全く別だ。
服装も、上位精霊が着る服を着ている。

「それで、精霊界で何かあったのか?」
「ううん、今回はアルフォード様からの伝言。何もあたしを呼ばなくてもいいだろうに……」
「アルフォードが?珍しいな。」

普通、奴がこうして伝言を送る事は無いが……何かあったんだろうか。

「そうね。まぁ、ちょっと状況が芳しくないって所かしら。」
「……ほほう、状況は徐々に悪化傾向にあるわけか。」
「うん……そうね……」

やはり、徐々に侵食が始まっているようだった。
先に戦った異形の者もそうだが、本来この世界にいないはずの存在が徐々に増えている。

「恐らく、依頼も増えていくはずよ。今は休みだろうけど、この調子だと休み取れなくなるかもよ?」
「まぁ、休める時にしっかり休むべき、と言った所だな。」
「そうそう。今の内休んでおきなさい?」

何れは休みなしで戦い続ける事もあるだろう。その時は……その時だ。

「わかった。それより……何時まで眠っているつもりなのだ、お前は。」
「まだまだ先よ。この子が立派な子になったら、風の大精霊の後継ぎにさせるわ。」
「……随分先ではないか。」
「仕方ないわ。もう固有の肉体と精神体を持つ事が出来ないのだから。」

精霊にとって固有の体を持つ事が出来ないという事は、精霊として活動が殆ど出来ないという事だ。
エアリナは幽羅の体を借りる事により行動する事が出来る。
だが、このような事はエアリナのみが行っている事で、本来ありえない事だ。

「……どうなっても知らんぞ?」
「言ってなさいよ。あたしがそんなに脆いとでも思ってるの?」
「……心配は無用か。用が済んだのなら体を戻してやれ。」

幽羅の身体を使っている以上、エアリナとして活動している間も肉体への負担が掛かる。
……事情は分かるが、余り長く活動はしてもらいたくはない。

「はいはい。貴方も無理しないでね?」
「分かっている。」

そう言い、エアリナは幽羅の部屋へと戻っていった。
直後、すれ違う形で雪乃が入ってきた。

「咲耶様……何か問題が?」
「少々状況がよく無いらしい。そろそろ、全員が動けるようにしておいた方がいいかもしれんぞ……」
「……わかりました。」

雪乃には大まかに事情を話してある。ここにいて知らないのは、当の幽羅と羽衣だけだ。
今後、戦いの場が更に広がっていく事は大体予測がつく。
覚悟は決めておいた方がいいかもしれないな。
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