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それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
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墓地をゆっくりと歩く。
もし本当にここが生贄になった人のお墓なら、
僕の……人間だった頃の僕も、ここにいるかもしれない。

「羽衣……大丈夫?」
「……大丈夫です。」

猫神様にそう返事はしたけれど、正直そんなに調子はよくない。
相変わらず、胸が締め付けられる感覚はある。

「……?」

視線を感じる。でも、猫神様じゃない。
感じる方向を向いてみる。少しだけ風化したお墓がある。でも、誰もいない。
近づいてみる。風化は進んでいるけれど、他のに比べるとまだ度合いが少ない。

「これって……」

名前は書かれていない。でも、何となく……分かった。
眩暈がする。間違いない。このお墓は……

『やっと来てくれた。』
「……ごめん。」

墓石に座っていた、もう一人の僕。
ずっと、ここで待っていたのかな……

「ここは……やっぱり、そうなんだね。」
『そう。形だけのものだからこんな状況だけれども。』
「そっか……」

ここに、人間だった頃の僕が眠っている……すごく、複雑な気分。
僕は生きている。けれど、それは神族としての僕であって、人間としてじゃない。

『まぁ、あたし達はただの生贄だから、ちゃんとした墓なんていらないんだろうけど。』

何処か皮肉るような口調でもう一人の僕は言った。
……なんだか、寂しい。

「……ある種の狂信的な物だったと思う。そして、それが結果として君を生み出す結果となった。」
「猫神様……」
『神の為に生贄を捧げる……ふふっ、酷い話よね?存在しない神の為に殺されるなんて。』
「……気づくのが、遅すぎた。それが我々の落ち度だ。」

もう、生贄の必要なんて無かった。それなのに、殺された。
理不尽という言葉だけで済まされない。それ程の事。

「だからこそ、今その因果に決着を付ける。」
「うん……もう、迷わない。」
『……好きにすればいいよ。それで、みんなが納得出来るとは思えないけどね?』

……そう、これは僕一人の問題じゃない。
村人、生贄、神……多くの人が、関わっている。
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