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それぞれの想いは交差し、物語を紡ぐ。
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「う、ん……」
「羽衣!」
「羽衣さん、大丈夫!?」

意識が元に戻る。少し、体が軽くなったような気がする。
猫神様も神王様も、心配そうな表情をしている。

「……大丈夫、です……」

もう一度、起き上がろうとする。今度は痛くない。
ただ、何となくだけれども……何かが、自分の中から抜け落ちたような、そんな感覚がする。

「もう起きて大丈夫?」
「はい。ごめんなさい、心配ばかり掛けて……」
「ううん、いいんだ。羽衣が無事なら……」

猫神様の手を借りて立ち上がる。
ずっと横になってたから、少しふらふらする。

「ん……?」
「どうかしましたか、神王殿?」
「いや、羽衣さんから、一つ気配が消えているような気がしてね。」

気配が一つ消えている……この抜け落ちたような感覚ってもしかして……?

「あの……もう一度、墓地に行ってもいいですか?」
「それは構わないけれど……本当に大丈夫かい?」

猫神様が心配するのも当然。さっきは墓地に来た途端に意識を失ってしまった。
だから、あの場所がどういう物なのか、自分の目でしっかりと確かめたかった。

「はい……もう、大丈夫です。」
「……僕も付いて行くから、何かあったらすぐに言ってね。」
「分かりました……」

あの場所に……きっと手掛かりがある。



寂れた墓地、一部の墓石は酷く風化してしまっている。
……少しだけ、胸が締め付けられるような感じがする。

「……ここには、誰も来ていなかったのかな……」
「この荒れ具合からすると……そうかもしれないね。」

村からはそう遠くないはず……それなのに、こうして放置されている。
何か、ここに来たくない理由があるのかな……?

「名前も書かれていない、か。最低限の形式だけにしても、これは……」
「……もしかして、ここって……」

手入れされず、風化している墓石。何とか形を残している墓石を見ても、名前が書かれていない。
それに、この、胸が締め付けられるような感覚……

「……生贄になった人の、お墓……?」
「……可能性はありそうだね。」

不意に、自分が生贄になった時の記憶が浮かび上がる。
体が燃えて、とても熱くて、でもそれが暫くすると何も感じなくなって……
もしかして、人だった頃の僕も、ここに……?
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